高まる胸そのままに

ピアノはある

 

又鳴り出す

新しい風であろうと

なかろうと

 

時には自分が弾いている

ことも

それはさして問題ではなく

 

まぼろしであっていい

夢の広さを描くとすれば

 

それは果てしないはず

それは心の季節の一面をも

語ってくれるはず

 

独奏

それは今はもう声だろう

だとすればその一途さに

 

惹かれるだけだろう

夢が更に広がりを見せる

こともあって

 

霧雨舞う夜の街を

ひとり歩く気配も

流れて

 

一見のさみしさ

高まる心をよそに

 

そしてピアノの図形的な

形象はその音と共に

ふくらんで行き