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前回は、「体幹とは何なのか?」という問いに対して、お答えしました。今回は、体幹の働き、機能に関して説明していきます
まずは、前回の復習です。
•体幹とは、頭と腕と脚を除く部分。つまり、胴体のことである。
•体幹は、胸郭、脊柱、骨盤から構成される。
•体幹の動きに関与する筋群は、腹筋群と背筋群である。
•体幹の動きは、屈曲、伸展、側屈、回旋。身体を丸める、反らす、横に倒す、捻る、である。
では、実動作の中で、体幹の筋群はどのように働くのでしょうか?
大きく2つ考えることができます。
①体幹を安定させること
②力を伝達すること(下肢で生み出した力を上肢に伝える)
大きく2つ考えることができます。
①体幹を安定させること
②力を伝達すること(下肢で生み出した力を上肢に伝える)
まずは、①体幹を安定させることについて。
「体幹」とは、「体の幹」と書きます。そして、その中心にあるのが、脊柱(背骨)です。
脊柱は、26個の椎骨が積み重なった形状をしており、頸椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙骨、尾骨で構成されています。
26個の骨が縦に積木のように並んでいる構造ですので、非常に不安定な構造です。
不安定な構造だからこそ、安定させなければなりません。
体幹の動きは、屈曲(身体を丸める)、伸展(身体を反らす)、側屈(身体を横に倒す)、回旋(身体を捻る)があると述べました。
体幹の筋群は、外力に対して、体幹部が屈曲しすぎない、伸展しすぎない、側屈しすぎない、回旋しすぎないように働きます。
不安定な構造なので、「◯◯し過ぎ」ては、構造自体が壊れてしまう可能性があります。それが、いわゆるケガですね。
つまり、脊柱(体幹)は、不安定な構造だからこそ、生理的湾曲(S字)を保ちながら、安定しておく必要があるということです。
続いて、②力を伝達することについて。
立つ、歩く、走る、飛ぶ。
あまり意識していない方の方が圧倒的に多いと思いますが、これらの動作は全て下肢(脚)の力で地面を押している、蹴っているから行われているものです。
りんごは勝手に木から落ちます。
なぜか?
重力があるからですね。
力学で「万有引力の法則」といい、近代力学の礎を築いたニュートンがりんごが木から落ちるのを見て閃いたというのは、有名な話です。
人は、地面に足がついているので、それ以上、下に落ちる事はありませんが、実際は落ちています。ジャンプして宙に浮いていられないのは、重力があるからです。常に、我々は、地球の中心に向かって引き寄せられてます。
無意識に我々は、常に重力に対して、拮抗して力を出しています。重力に負けないように、足で地面を押し返しています。
物体Aが物体Bに力を加えた時、BもAに同じ大きさの力で反対方向に押し返す力が働きます。こういうのを、力学で作用反作用の法則と言います。
引き寄せられる力と同等の力で押し返している時、立っていることが可能となります。
引き寄せられる力以上の力で垂直方向に地面を押し返した時、ジャンプする事ができます。それを水平方向のエネルギーに変換する事で歩行や走行が可能となります。
下肢(脚)で床を蹴る力(反力)を体幹を介して上肢へ伝える事により、手で物を投げることができます。パンチを打つ事ができるようになります。
力は、物体が硬ければ硬いほど、伝わりやすくなります。
木製バットと金属バットでボールを打った時、どちらのほうが遠くまで飛ばすことができるでしょうか?
下肢(脚)→体幹→上肢(腕)と、力は伝わっていきます。
下肢で発生させた力(反力)を上肢まで伝達するためには、仲介役の体幹の固定力が強いと、無駄なく、効率良く、力を伝える事ができます。
より強い力を伝えるには、より強く固める必要があります。
下肢で発生させた力を伝えるために、体幹の固定力が必要です。
ここでまずご理解していただきたいのは、体幹がどうこうの前に、まず下肢から力の伝達が始まるということです。体幹の強さは必要ですが、その前に下肢の強さも必要です。また、力の伝達がうまく言っているかなど、効率的に力を伝える連動性も必要です。
一般的に認識されている「体幹トレーニング」をやっていても、本当の意味での体幹の強さは、手に入りません。バランスボールに乗っても、体幹は強くなりません。
ここまで、踏まえた上で、次回は体幹トレーニングについての私見を述べさせていただきます。
体幹トレーニングというと、ものすごく良いものであるという認識があるかもしれませんが、体幹トレーニングとは、体幹部の運動のことであり、それ以上でも、それ以下でもありません。
基本は、スクワットです!
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では、まとめましょう。
・体幹の役割は、体幹を安定させること、力を伝達すること、の2つが考えられる。
・体幹(脊柱)は、不安定な構造のため、安定性が求められる。
・体幹は。外力に対して、屈曲しすぎない、伸展しすぎない、側屈しすぎない、回旋しすぎないように働く必要がある。
・下肢(脚)で床を蹴る力(反力)を体幹を介して上肢へ伝える事により、手で物を投げたり、パンチを打つことができる。
・下肢で発生させた力を上肢まで伝えるために、体幹の固定力が必要である。
・いわゆる体幹トレーニングをやっても、本当の意味での体幹の強さは手に入らない。
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