リハビリ病院に転院出来たものの、リハビリの時以外は、まだ私は完全に寝たきりでした。
リハビリ病院は山の中にあり、私の部屋からは山しか見えませんでした。
(私の体はいつ動くようになるんだろう?いつになったらあの見ている景色に出られるようになるんだろう?)
そんな風に思ってしまうことも多くありました。
でも、どこか呑気な私は、毎日毎日山ばかり見て過ごしているうちに、猿でも出ないかな?動物はいないかな?これだけ緑を見てるから目が良くなるかも?などと考えながら山を見るようになりました。時々、飛んでいく鳥を見て、ああ、自由に動けていいな、なんて思うこともあったけど。
山はちょうど新緑の時期で緑がとても綺麗でした。
ある夜、途中で起きてしまって窓の外を見ると、丸い大きな月がちょうど山の上に上っていて、月明かりで空が明るくなっていて、その景色がとても綺麗で、何かご褒美をもらったような気持ちになりました。
ケツメイシの花鳥風月という歌がぴったり合うような景色でした。
昼間は廊下からリハビリの先生と患者さんが話ながら移動しているような声や、介護士さんや看護師さんの笑い声などが聞こえたりしていました。
私は部屋の中から、楽しそうに話してるな、動ける人はいいなあ、なんて思ったりしていました。