3/18に開催いたします名古屋演劇ペンクラブ賞受賞記念「第27回五條園美リサイタル」の演目を紹介させていただきます。

創作 夢の光芒ー平家物語よりー

出演者と役柄 
平家物語の頃の衣裳を付けますが、日本舞踊独特の素踊りの気分で踊れるようフリ付けしてありますので、場面によって役柄は変わっていきます。

 五條園美―建礼門院徳子 
 五條美佳園―中宮徳子・平家の大将
 五條麗 ―小督の局・平家の若武者 
 五條園八王―高倉天皇・平家の武者
 五條園千代―平清盛・平家の武者・源氏の武者・平家の武者
 五條園小美―源仲国・平家の武者・源氏の武者・平家の武者


「祇園精舎の鐘の声……」で有名な『平家物語』を題材にした創作日本舞踊です。
平清盛を中心とした平氏の栄枯盛衰を描いた軍記物ですが、
「平家にあらずんば、人にあらず」とまで言われた栄華の時代と、
壇ノ浦の戦いで滅亡していく有様を、清盛の娘であり我が子・安徳天皇とともに壇ノ浦で入水するも
一命をとりとめる建礼門院徳子を中心に舞踊として描きました。
長い曲ではありませんが、お話は5場に分かれます。

第1場では、一命をとりとめた徳子が我が子・安徳天皇や平家一門を弔っています。そこに海の彼方へ沈んだ武者たちの怨霊が現れます。
2場目は時間をさかのぼり、平氏栄華の時代。
高倉天皇の中宮(皇后)だった徳子は、天皇が側室の小督の局にご執心なことに心穏やかではありません。
小督を排除しようとする父の清盛。小督を心配する源仲国。
ようやく子をもうけた徳子、その子はのちの安徳天皇となり平家はますます栄えます。

3場目では熱病で平清盛が亡くなるところから。
世は乱れ、戦の様子の踊りとなります。一の谷戦いから壇ノ浦の戦いに。そしてついに……

4場では壇ノ浦の波の中静かな海の底。
波に流され、戻されて、武者たちはいつしかチリヂリに暗い底へと沈んで行きます……。
最後の5場目では、建礼門院徳子の祈りと慈悲の心に慰められ、怨霊たちが静かに去っていくのを描いています。

曲は深町純の「春の夜の夢」に琵琶曲の「祇園精舎」を乗せました。
壇ノ浦に沈んだ平知盛の亡霊が、嵐となり源義経や弁慶の一行に襲い掛かる様を描いた、

前田青邨画伯の「知盛幻生」に感銘を受け、舞台に描きたいと思った作品です。

荻江 八島
五條園美

謡曲「八島」からつくられた曲で、素踊りの日本舞踊を五條園美がつとめます。

壇ノ浦の戦いから月日が流れ、当時は平家の船軍で埋め尽くされていた
源平の古戦場八島(屋島)辺りは静かな夕暮れ時です。

旅の僧が一夜を過ごします。夜が更けると、武者の亡霊が現れました。

「修羅道の鬨(とき)の声、矢叫びの音振動してー」
と亡霊は八島での源平の合戦の様子を話しはじめます、源義経の霊でした。

壇ノ浦の船戦の、波にながされた矢を義経自らが取りに行った話など、続きますが 
いつか夜も明けて「敵と見えしは群れいる鴎、鬨の声と聞こえしは松風なりけり高松の」と

舞い納めます。

上記二作品になります。ご興味いただけましたら、足をお運びいただけますと幸いです。
会の詳細は前回の投稿になります。