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「いい句は狙った的のもう一つ奥に思いがけなく命中している句だ」
これは高柳重信さん。
「風のうしろで小さな神とすれ違う」
は大西泰世さんの句。
ハッとし、ハタと気づくとき、
閃きは後頭部か背筋あたりにやって来ている。
気配の主はどうも背後に居るらしい。
【被曝の子】
かくてまた島といふ字の被曝の子
つつましき島にうまれて被曝の子
また一つまたもう一つ木の実落つ
ウイルス撒けばワクチン売れる冬隣
霙るるや石屋の先に墓地である
風蒔ひてつむじ風刈るげんげ畑
見晴らしの菜の花風や少女病む
夕凪に少女の腕を持ち帰る
夏痩せの牧師浜辺の杭なりき
老ひて漁師は生真面目に焼け黒む
重装備の夏上陸す Fuck Fuck 靴鳴らし
国境なき兵士年越せりアヌスも銃口も
湯豆腐に舌焼かれ「イッヒ」ドイツ人
禿を笑うな禿が笑うぞサンタ来る
簾越し馴染みの蛇に会釈され
夜は長いちょいと縛ってイイですか
よく馴つくチンチラ入荷水ぬるむ
みちのくに合歓の花咲く姉嫁ぐ
水打てば蝶の寄つて来る悲しさ
たそがれや顔もおぼえぬ涼しさ
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