僕ら3兄弟は、それほど仲が良くなかった。
いつも、けんかばっかりしていた。
長男の僕が次男をいじめ、
次男が三男をいじめ、
三男はクラスの子をいじめ、、、
母親はいつも、謝りに学校へいっていた。
「兄弟仲良くしなさい」
それが母の口癖だった。
そんな母が、病気になった。
僕は、そんな母の治療費をしっかり稼ぎ続ける為に、
良いところへ就職して、お金を稼ごう
それが夢になっていた。
その母は、
僕が大学のときに亡くなった。
・・・お金って、なんで必要なんだっけ
僕は目的を失っていた。
そういえば、
母にも、祖父母にも、たくさんたくさんかわいがってもらったのに
亡くなる前に、何もしてあげられなかった。
この、受けた恩は、どうしたら良いんだろう。
悶々と考えながら、
小さい頃、伝記を読むのが好きだった事を思い出した。
野口英世や、ライト兄弟をよく覚えている。
伝記になっている人たちのように、
人はなにかしら自分の使命を背負って生まれてきたはずだ。
その使命を全うする大人になれ、と、
自分を取り巻く人や場所等の環境が手を貸してくれたことで
大人になれた。
大人になった今こそ、
自分の次の世代の為に尽くし、使命を果たしていく事こそが
恩返しになるんじゃないか、
そう思った。
僕は、ふと、弟たちに声をかけた。
「一緒に、会社をやらないか」と。
ライト兄弟たちのように
僕らの次の世代が、夢をもって生きられる
そんな社会を作る
その、当事者でありつづけたい。