オーストラリアの大学院のコースは、大まかに言って、コースワークとリサーチワークに分かれています。
まあ、これは大抵の欧米の大学院にも当てはまると思いますが・・・。
それで、この、コースワークとリサーチワークって、どう違うんでしょうか?
コースワークとは、日本の大学の学部のように、卒業するのに必要な所定の単位を取得するために、必修科目や選択科目を履修し、所定のアサインメントをクリアして、卒業する、というスタイルのものです。
つまり、授業をとることで卒業する、という形です。
ビジネススクールやロースクールなどのコースを思い浮かべればいいと思います。
一方、リサーチワークでは、論文を書いて提出する、というのが主な目的になります。
コースワーク的な要素が含まれる場合も一部ありますが、たいていの場合、論文を書く、ということに特化した内容になっています。
日本でいうところの、修士課程や博士課程に該当します。
ということは、どういうことを研究し、何をテーマに論文を書くのか、といったことを事前に決めておくことが必要になりますので、リサーチワークへの入学に当たっては、かなりの程度、その分野について精通している必要があります。逆に言えば、その点が入学の際に審査されます。
ですので、留学生の場合、いきなりリサーチワークからスタートする、ということは、結構ハードルが高いということになります。
外国でPhDなどのリサーチワークに進みたい場合には、英語で研究テーマについて、かなり具体的に、かつ説得的に説明できるくらいの見識が必要になるみたいですので、多くの場合、マスターの段階から留学する、ということになります。いきなりリサーチワークからは厳しいかもしれません。
コースワークの中にも、場合によっては、リサーチワークの要素を併せ持ったものもあります。
例えば、私のメジャーの場合、コースワークのプログラムなのですが、選択科目として、Minor Thesesという、修士論文に相当する論文を書くことが可能になります。
ただし、この論文を書くに当たっては、既に出ている成績がかなり高い(75%以上くらいでしょうか?)ことが条件として求められます。
つまり、成績の良い学生(見込みのある学生)のみが、論文を書くことが認められる、というルールになっています。
ですので、もし、将来的に、PhDに進学することを念頭にコースワークに留学する方がいましたら、コースワークの段階で、かなり良い成績をとる必要が求められますので、ご注意ください。
かくいう私も、実は、セメスター2で、このMinor Thesesを書こうを思っていました。
ちょっと、PhDを視野にいれている、ということもありまして・・・。
しかし、セメスター1の最初の段階で、留学生担当のスタッフの方から、
・セメスター2でMinor Thesesを書くためには、セメスター1の途中までの段階で、研究テーマをまとめ、教授の了解を得る必要がある。
・さらに、教授の了解を得たとしても、結果としてセメスター1の成績がかなり高くないと、Minor Thesesを書く資格が得られない。
・留学生が、シドニー大学ロースクールでその要件を満たすのは、結構大変だと思う。
という、かなりシビアなアドバイスを頂いたので(これ、結構ショックでした(笑))、この時点で、早々と、Minor Thesesを書くことはあきらめました。
今でも、この時の判断は、賢明な選択だったと思っています。
あの段階で、最終的にどの程度の成績が取れるか、なんて分かりませんし、セメスターを一つも終えていないのに研究テーマを確定させる、なんてことも無理でした。
ちなみに、私の当初の目論見では、セメスター1が終わってから、セメスター2が始まる前までの段階で(つまり、バケーションの間に)、セメスター1での勉強を参考にしつつ研究計画を立てればいいのではないか、と勝手に思っていました。
ですので、このシステムで行くと、留学生が、1年のプログラムでMinor Thesesを書くのは結構厳しい、と思います。1年半以上のプログラムなら、十分可能性があると思いますが。
ただ、私のコースの場合、科目によっては、試験の代わりにエッセイを書くことも認められており(学生が選択できる)、そのエッセイが、かなりリサーチワークに近い内容になります。
ちなみに、私はエッセイを選択するようにしています。
試験は一発勝負で、英語に自信のない留学生にはリスク大です。エッセイは、自分のペースで作成できますので。
ただし、書かなければいけないボリュームは多いので、エッセイが楽というわけではありません。
実際、オージーの学生は、エッセイは書くのが大変だから、試験を選択する、という人が大半です。
ですので、結果的には、コースワークに所属しているものの、リサーチワークに近いことをやっているようでもあり、その点は、今のコースに満足しています。
こういう、フレキシブルな点も、オーストラリアの大学院の好きな点の一つです。
ではでは。