回想１

「数週間前、大腸がんの手術を受けた」と連絡があった数か月後、「関西に帰省するから、もし良ければ会いたい！」と彼女に思い切って言ってみた。そして「まだ会えない、会う気になれない、会いたくないという気持ちがあるなら素直にその旨を伝えてほしい」と付け加えた。人に凄く気を遣う彼女。「会いたくないのに気を遣って会いに来るのでは？そんな彼女に『できれば会いたい』と言っていいのかな？」と迷った。「どうするのが彼女にとって一番いいのか…」、悩んだ末に出した私なりの答えだった。

待ち合わせの駅に降り立つと、いつもと変わらない彼女が遠くに見えた。「相変わらずスタイルがよくオシャレだな…」とちょっと安心した。でも、彼女に近づくと、一回り小さくなっていることに気づいた。もともと細かったが、更に痩せていて、そこで初めて「身体的にも、精神的にも相当辛いんだろうな…」と当たり前のことを悟った。

当時の私はまだ乳がん発覚前。今ほど、がん治療やその大変さを理解していなかった。

「XX薬を使ってもマーカー値に変化がなく、効果が分からず…」「主治医はなんとも言えない…といった見解で…」「マーカー値が下がり、効果が実感できて初めて精神的に少し落ち着いた…」などなど。

乳がん発覚後、彼女のその当時の言葉を思い出す度に、いろいろ考えてしまう。

この数日で気待ちの整理が大分ついたと思っているが…。

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