昨年の春、瘢痕拘縮形成手術をするか否かを検討していた時、形成外科主治医が「今、瘢痕拘縮形成手術をしておくと、インプラント手術が楽になる」と言った。私の頭の中は「??」が一杯。聞き返えす言葉を探せず、「そうなんだ....」と流した。

そして、昨年5月、局所麻酔・日帰り手術で瘢痕拘縮形成手術を受けた後、主治医から「じぇんりーさんは痛みに凄く強かったので、かなり修正することができた。予想していた以上に瘢痕拘縮箇所が多かったので、この時点で一度、修正しておいて良かった。手術をして正解!インプラント手術が楽になる」と言われた。

「乳がん手術で出来た傷が治る過程で沢山の組織が拘縮。あるべき場所と違う箇所でくっ付いてしまった組織?筋肉?を元の位置に戻し、修正することができたんだ...。要するにやってよかったのね。シリコンへの入れ替え手術までこの状態を放置しておくと、大変になるんだ....」ぐらいの理解でまたサラッと流した。

時は流れ、10月のインプラント手術の術前説明時。
「XXXは......XXXで......」「そして、瘢痕拘縮形成も行います。まぁ、じぇんりーさんは、瘢痕拘縮形成手術時に、インプラント手術で通常行う程度の瘢痕拘縮形成をしたんだけどね。あれと一緒」と説明された。「通常、全身麻酔で行う程度の瘢痕拘縮形成を局麻でできたのか....。だから、5月の瘢痕拘縮形成手術の後に、主治医が『ここまで出来れば......』と言っていたのか....」と思い出しながら主治医の説明を聞いていた。

そして、ここ数ヶ月、同じ病院の再建仲間から
「インプラント手術直後は、乳がん手術直後より辛かった.....」
「シリコンへの入れ替え手術は楽勝!って聞いていたのに、予想していた以上に辛かった....」
「『シリコンへの入れ替え』だからさ、エキスパンダーをシリコンにササッと入れ替えるだけ!というイメージが強すぎて.....」
といった声を聞く。

シリコン・インプラント手術は、一般的に、乳がん手術より楽と言われている。私は、乳がん手術とは比べ物にならないぐらい楽だった。とはいうものの、インプラント手術直後は「あぁ....やっぱり全身麻酔の手術だ....。乳がん手術の後を思い出す....。ちと辛い」と少しは思った。でも、かなり楽だった。私の場合は、自費診療でインプラント手術をしたので、保険診療では使用できない強力な吐き気止めを麻酔科が手術時に使用してくれて、「全身麻酔後に吐き気・嘔吐なし!」という快適で素晴らしい状況を初めて享受!だから、楽に感じたのかもしれないが。

では、なぜ「インプラント手術は予想以上に辛い....」という声が聞かれるのか?
それは、「シリコンへの入れ替え」という言葉から、「エキスパンダーを取り出し、その空間にシリコンを入れるだけの手術」というイメージが強いからだと思う。

他の病院のシリコン・インプラント手術の状況は分からないが、インプラント手術はそんな単純なものではないと私は理解している。

私の場合は.....
乳房が大き目なので、特に乳房下部の丸み・弛みを作るのに必要な皮膚を確保するため(皮膚を伸ばすため)、瘢痕拘縮形成手術時にあえてエキスパンダーの位置をかなり下にした。なので、もちろん、その場所にシリコンを入れたわけではない。詳しいことは分からないが、技を駆使し自然な形状のシリコン乳房を再建してくれたと感じている。

まぁ、私もインプラント手術前に主治医に「先生!エキスパンダーがこんな下にあるでけど、その空間にシリコンを入れたらシリコンが下に落ちてこないの?」なんて訊いたんだけどね。主治医は「落ちてこないように縫うよ......」とまた”じぇんりー”は訳わからんことを訊きよる的な表情を浮かべながら答えていたな....。

そして、インプラント手術時には、自然な形状のシリコン乳房を再建するために、瘢痕拘縮の形成も同時に行われる。瘢痕拘縮がある一定以上あると、自然な形状が出せないと感じている。

また私の場合で説明すると、
瘢痕拘縮形成手術を受ける前は、瘢痕拘縮が強く、エキスパンダーにお水を注入しても、エキスパンダー本来の形状通りに膨らまなかった。つまり、乳がん手術による傷が治癒する過程で組織がかなり拘縮し(傷口は組織が縮みくっ付くことにより治るので)、その拘縮した突っ張った組織が邪魔をし、エキスパンダーがその形状通りに膨らまなかった。「ここまで瘢痕拘縮があってよく痛みがないな...。よくこれだけ腕・肩が自由自在に動くな....」と主治医からよー分からん褒められかたをした。それぐらい拘縮があった。

それで、
インプラント手術時にそれなりの瘢痕拘縮形成を行った場合は、当然だが、術後それなりに痛みや苦痛があると思う。なので、「えー、インプラント手術の後って予想以上に辛い....」となると思う。

私は、インプラント手術前に瘢痕拘縮形成手術をしていたので、インプラント手術時に瘢痕拘縮の形成をそれ程する必要がなかった、いや事前に瘢痕拘縮形成をしていたから通常程度の形成作業で済んだと理解している。現に、手術時間は長い方だった。主治医が、瘢痕拘縮形成手術時に「ここで一度、瘢痕拘縮形成をしたので、インプラント手術は楽になる!」といった意味はここにあった。

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