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相模原市の障害者施設での殺傷事件に関する裁判が始まった昨日。医療関係者の友人が、重度の身体障害がある木村英子参院議員(54)=れいわ新選組のインタビュー記事(毎日新聞)をシェアしていた。有料記事なので全文は読めないが、無料で読める範囲の内容だけでも、とても考えさせられた(リンク記事を読んでみて下さいね)。なぜなら、彼女が述べることは、障害者施設だけでなく、医療現場でも、私が肩のリハビリで通う大学病院でも、レベルは違うにしろ、垣間見られる光景のように思えたからだ。記事内の「植松被告がおこなったことへの怒りはもちろんありますが、彼のような人が出現してしまう環境への恐怖のほうが強いです」という一文はとても説得力があり重く感じている。

私が通う大学病院。前回の投稿で触れたように、紹介状なしで高額初診料を払って来院する患者も相当数いる(ようだ)。この状況の賛否は別として、日本政府が望む病院の棲み分け?システムが十分には機能していないのは事実だ。こういった背景もあり、この大学病院は常に混んでいる。

混んでいる病院で一番先に患者などの来訪者に接する受付・事務員スタッフ。総合受付にしろ、各診療部門の受付にしろ、「受付部門全体が委託かな?スタッフは派遣?」と感じる場面によく出くわす。「研修中」の名札をつけていたり、知識があまりないスタッフもそこそこいる。

そのスタッフは、長い待ち時間でイライラする人や我がままな人など様々な人の対応に追われる。しかも患者や付き添い者には、説明に時間がかかったり、介助が必要だったり、対応にプラスαが必要な高齢者が多い。自然とスタッフの声からは優しさが消える。ある時、ある部門受付で、痛みに苦しむ初診高齢患者を放置しているように思える場面に出くわした。私の隣で待っていた患者さんと一緒に、診察室のバックグラウンドで忙しく動きまわる看護師さんにこの患者さんの状況を伝え対処してもらった。「もうちょっと何とかならない?」と思ったが、その一方、「これが日常で感覚が麻痺し.....。人手が足らないし....。対応したくても、できないか....」とも思った。

同病院での入院中。入院手続きを終え病棟に上がると、病室を案内されるもその後は放置だった。入院日当日に行う麻酔科医との面談についての説明もなく、自らナースステーションに行き確かめた。必要なことは全て自分から確かめに行った。担当の看護師と会えて説明を受けたのは、タイミングの関係もあったが、入院日にすべきことを全て終えた後だった。説明も省略版。人手が足りていない印象を受けた。

7年ほど前に手術入院した都内のがん専門病院や、4年ほど前に手術入院した福岡の整形外科専門中堅病院とは単純比較はできないが、ついつい比較してしまった。「術前や手術の翌日の看護師の対応ってこれでいいの?今の都内はこんな感じ?医療制度・システム・考え方はどんどん変わるし.....」と色々考えてしまった。とにかく、放置されている感が否めなかった。「50代で若く(病棟では若い!)手がかからない患者は後回しか....」とも思った。それぐらい介助が必要な高齢入院患者が多い。

私が手術から病室に戻ったのは夕方5時半あたり。7時間半の全身麻酔の副作用の嘔吐が一番大変な時の対応は、夜勤担当の看護師が担うこととなった。1時間おきに酷い嘔吐に苦しみナースコールをする私。感じがよく中堅クラスと思われる担当看護師の彼女は的確に対応してくれた。助かった!彼女は「じぇんりーさんは注意が必要な状況」と判断したようで、「何かあれば直ぐに呼んで下さい。ナースコールがなくても1時間おきに来ます」と言い、実際にその通りに対応してくれた。「1時間おきに見に来ます」という言葉はとても心強かった!

彼女はその日の夜勤担当の中では一番経験が豊富だったようで、私の看護をする彼女のもとに相談に来る新人看護師がいた。彼女らの会話から「病棟勤務はキツイから新人や経験が浅い若い看護師が多いな....」と感じた。夜が明け彼女の勤務が終わりに近づいた時、彼女は私の看護をしながら、「アレ?私ボケてる?これを仕舞うのはココじゃなくて....」と疲れをにじませた。

数日後、「夜勤は1人の看護師が11人の患者(記憶が正しければ)を担当」という掲示物をナースステーションの横で見つけた。それを見た瞬間、「あの日の良くしてくれた彼女は、私の看護をあれだけしながら他に10人の患者を診ていたのか...。そりゃ、勤務時間の終わりには疲れ果て、頭が回らなくなるわ」と思った。

話を戻して....。夜勤担当の彼女は勤務終了時に挨拶に来た。「ここからは日勤のA看護師が担当します。ちゃんと引き継ぎました。XX時頃に尿道カテーテルを抜きます。その後、トイレに行くときは、必ずこの担当看護師を呼んで付き添ってもらって下さい。体力が落ちている上、点滴が足首。片手で点滴をぶら下げるバーを押しながら一人で歩くのはまだ危ないです」と私に言いながら日勤の看護師を紹介した。

この日勤担当の彼女。ナースコールをしてもなかなか来なかった。尿道カテーテルを抜く時間を1時間以上過ぎても来なかった。結局、他の看護師に対処してもらった。こんな感じの彼女だから、「トイレは一人で大丈夫だと思います」と私に言った。入院慣れしている私。彼女が何と言おうが、不安な時は、彼女なり他の看護師なりにトイレに付き添ってもらった。が、そんな私でもナースコールを躊躇することがあった。因みに、日勤の彼女が他の担当患者で忙しかったのかは不明。

たった6日間の今回の入院だったが、色々考えさせられた。「入院中でも自分の身は自分で守るだな」と思った。同室の一人は、この大学病院に長年通院し、入院も数回しているが、「今回のような手薄い対応は初めて!以前の入院時(前回は5年前?いやもっと前?)は看護師が多く手厚かった」と言っていた。

人手不足に働き方改革。この大学病院の看護師は各自テーマを決め研究もしているようだった。自主的にではなく業務としてだ。女性看護師の場合は、結婚や出産・育児が加わる。入院病棟でキャリアを積みたくても難しい。なので、キャリアが浅い人が増え、一人にかかる負担も増える。こういった状況に加え、超高齢化社会で入院患者の平均年齢は上がる一方だ。ますます一人にかかる負担が増える。

同室には寝たきりの高齢者がいたが、その方への看護を見ていて、「え?それは......」と気の毒な気持になる反面、「彼女に人手がかなり取られて他の入院患者への看護が.....」と思った場面もあった。

取り留めもない文章になってしまったが、厳しい職場環境で人の命に係わる看護の仕事。入院患者は闘病で精神的にキツイ部分があるが、働く側も精神的なバランスを保つのが想像以上に難しいと感じている。

今回の手術入院や通院では、本当に色々考えさせられているだけに、冒頭リンク記事内の「彼のような人が出現してしまう環境への恐怖のほうが強いです」が突き刺さった。


今日のオマケはJR恵比寿駅構内の文庫本の自販機。私は恵比寿駅をよく利用しているにもかかわらず、昨日初めてこの存在に気づいたが、ネットでチラッと調べてみると、結構前からあるらしい。






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