《搬送クルー奮闘記》田口誠 リーダーとしての葛藤
今までの練習を否定された・・・
そんな一日でした。
まずは慣れている私が先導をして、手本を見せる。
そんな感じで順調にスタートができました。
暗闇の中を漕ぐのは私も初めてなので、
「離れないこと」「見失わないとこ」これを注意して併走しました。
霧があり視界はあまりよくありませんでしたが、風もなく波も穏やかだったので問題なくいきました。
80分経過したところで、チェンジ。
これは本番を想定して、80分交代でいこうと考えていること(食事が80分毎なので)
暗闇を体験してもらうこと、この2つの意図がありました。
江ノ島を折り返し。
だんたんと怪しい天気になってきました。
まずは風が強くなってきました。だんだんとうねりが入ってき、気付いたら浜の方に流されていました。
暗くて気付くのが遅くなっていましたが沖へ進路をとりました。
だが今度は霧が濃くなってきました。
沖に出すぎると海岸線の明かりが見えない。
でも沖に出ないと波にのまれる。
併走艇は見えない。かずやさんも見えない。つけてるライトも見えない。
離れてはいけない、見失ってはいけない、でも漕がなくては・・・
「なにが安全管理だ!意味を成してない!!」
自然の偉大さ、認識の甘さを痛感させられました。
そして最後はもう一度私にチェンジを。
しかしラダ-が効かない、見失う、もう1艇はいない(船酔いをつれて帰港)、最悪な展開・・・
でも明るいライトがある!!これをつけて向こうから見えるようにしよう!!
これが精一杯でした。
何とか合流し、浜に到着。もちろん中止。
無事でよかった。
今回反省すべき点そして今後の課題がより鮮明になってそんなトレーニングでした。
なにより本番でなくとよかったと。
まずは、「コンディション」
これは、情報収集不足。これに限ると思います。
今回の挑戦は、20時間という長時間。
いつ天候が変わってもおかしくない状況でのチャレンジです。
いままでの環境が良すぎたのでしょうか。
併走クルーとは別に、陸にいて常に海の状況をチェックする人。
これが必要でしょう。
そして「クルーの併走能力」
私はここを一番問題視してます。
本番もそうですが、一番近くにいるのは併走艇です。ここがしっかりしないと成り立たない。
ストレスを与えないように併走する事はもちろんですが、なにより本番は船とも併走しなければなりませんし、
もし離れてしまった時は、併走艇が最後の砦です。
安全は併走者にかかっているといっても過言ではないと思います。
今までは私一人で40kmまでのトレーニングを併走してきましたが、本番を一人でやることは不可能だと思っています。なによりも集中力を保たなければいけません。
20時間も集中できません。
しかし、今回のトレーニングで自分がずっとやった方がいいのかなと思ってしまいました。
なにより自分自身が安心できるというのが大きいかなと思います。
側にいないと見えないと心配になってしまいます。
でもそこは、全員で安心して信頼して出来る環境をつくっていかなければならないと思います。
OC1を2艇出したほうがいいかなとか、遭難を想定するとOC2がいいかなとか。
まだまだ考えることはたくさんあります。
あと1ヶ月。万全の体制で望めるよう起こりうる全ての事項に対策を立てていきたいと思います。
以上、長々とすいません。
田口誠
・バリバリの競泳選手で、過去学童新記録(小学生の日本新記録)なども保持。
全国中学校も優勝。
インターハイでは北島康介に破れ、惜しくも準優勝といった成績。
・鈴木一也とは小学生の時に選ばれたグアム遠征で出会う。
明治大学水泳部で共に同じユニフォームを着て、切磋琢磨。
・社会人になってからはCOCCのパドラーとして活躍。
・もの静かな性格だが、ひとたび競技になると、打って変わって情熱的な顔に変わる。
誰にでも親切で、やさしい性格。責任感が強い。
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