(前回記事の続き)


では耳に勝手に入ってくる、といっても過言ではないメディアに対し、私たちはどう対応すればいいのだろうか。


 例えば今回の事件で騒がれたのは、先述の通り「JTフーズと生協への不信感」「中国の半日姿勢」だろう。そこで前者について「警備、危機管理が甘いから、もっとカメラを増やすべきだ」という意見が出る。しかし実際これ以上管理費に投資することはできない財政だ、と山本氏は語る。確かにそうだ。管理にお金を使ったら、そのしわ寄せがメーカーにいくわけで、より危険である。それにJTフーズ、生協はすでに高レベルな警備で有名だそうだ。

 ではどうすればいいのか。それは、松永氏に言わせれば、「消費者こそ気をつけるべき」なのである。被害にあった消費者の声を聞くと「袋に穴が開いていた(が食べた)」「変な味がした(が全て食べた)」と無責任である。メディアからしてみれば、被害者を叩いては批判されるため、やむなく企業を叩くのだ。そんな報道を鵜呑みにせず、消費者としての自覚を持たねばならない。

 そのための例として、先述の有機農産物が安全だと思うなら、実際に自分で作ってみろ、という話があった。また、販売者の批判ばかりするのでなく、消費者が主体的に"欲しい商品"について販売者に申し立てる、ということもするべきだ。そして、食品を購入する際、安いものには理由があることを忘れないことも大事だ。安さの裏には素材のレベル低下、添加物の多用、輸入品の多投入が挙げられる。ミートホープ社元社長も言及している。「半額セールを慶んで買う消費者にも問題がある」と。原価計算を頭の中で行い、安すぎたら危険信号を出すのは消費者の役割なのだ。


 メディアには疑って、疑ってかかる。それで真実が見出せないことも頻繁である。その割に潜在的に信じ込んでいる要素もある。

 私は「何をどこまでどのように疑って、何を信じればいいのか」が分からなかった。全てを疑ったらきりがない、と思っていた。しかし今回のゲストのお話を聞いて、「実際に自分で試してみる」ことの重要性を知った。農産物を作ろうだなんて思ったこともなかった。でも、私の疑問は私の無知、浅はかな経験が原因である。


 行動を起こさなければならない。まずは、当シンポジウムの企画者さんのように。