自分の成人式のことは、確かここにはまだ書いていなかったと思うので、思い出して書いてみます。

最初に結論を言うと、成人式の思い出はありません。

成人式、行ってないから。

正確には「成人の日の思い出」です。

長いです。


大学に入学した春から、クリーニング屋さんでバイトを始めました。

そこは家族経営のお店で、従業員は社長・社長の弟さん・社長の息子さんの3人と、古参のおばちゃんパート3人、私と同時に入ったおばちゃんパート1人、私を含めた学生バイト3人という構成。

お店の位置の関係で、バイトを終えたらその足で大学に向かっていました。

社長の息子さんは、私が夜間学生だということもあって、大学生活をとても応援してくれており、試験前には快く休みをくれていたし、「頑張って勉強しいや〜」と、よく励ましてくれていました。

それがかなり効き目があって、大学は遠くてしんどいけど真面目に毎日通っていました。

私と同時に入ったおばちゃんパートのOさんもとっても優しい人で、自宅に招いてくれたり、炉端焼きやお好み焼きを食べに連れて行ってくれたり、とてもよくしてもらっていました。

Oさんは、私の成人式が来年だから一度着物の展示会に行ってみないか?と誘ってくれて、どこだったか忘れたけど展示会に2人で行きました。

そこで振袖を試着して、ポラロイドで写真を撮ってもらい、折り畳み傘なんかの粗品もいろいろもらって帰りました。

Oさんは似合う似合うと褒めてくれるし、初めての振袖で照れたけど素直に嬉しかったです。

一方で母からは成人式に関して何か言われることはありませんでした。

お金もないしどうでもよかったのだと思います。

実のところ私自身も振袖には全く興味がなかったので、何も言われなくてむしろ気が楽でした。


クリーニング屋では日頃から古参パートのうちの2人にめちゃくちゃ意地悪をされていて、耐えきれず2回生になってすぐにバイトをやめました。

社長の息子さんは「若い子が勉強しながら頑張ってるのに意地悪するなんて!」と怒ったり泣いたりしてくれました。

Oさんは、自分も古参パートに意地悪されていたので、「こんなとこより、もっとよそのええとこに行き」と笑顔で送り出してくれました。


次のバイト先は倉庫。

日用品のピッキングです。

自宅から近かったので、大学に行く前に一度自宅に帰るようになりました。

それがいけなかった。

一度家に帰るとまた出かけるのが億劫になって、そのうち嫌で嫌で仕方なくなって、だんだん行かなくなりました。

結果、2回生の1年間ほとんど大学には行っていません。

成人式の日は、普通にバイトを入れました。

そこにも優しいおばちゃんパートさんたちがいて、「え?あんた今日成人式じゃないの?いいの行かなくて?」とさんざん気づかってくれました。


夕方。バイトの帰り道。

家の近所だから、晴れ着を着た同級生たちとすれ違います。

私はバイト先の作業着に上着を羽織っており、どこからどう見てもパートのおばちゃん。向こうはまさか今日この日に同級生がそんな格好でうろついてるとは思っていないだろうから、私だとバレることはありませんでした。

家に帰ってしばらくすると母もパートから帰ってきましたが、特に何もなく。

私からも別に何も言わず。


私の成人の日は、普通にバイトに行って普通に家に帰って終了しました。


展示会で撮ったポラロイド写真は、捨てられなくて今も持っています。

素敵な振袖を試着して、恥ずかしそうに笑っている二十歳の自分が写っています。

髪がショートなので変な写真です。

Oさんと出かけて楽しかった思い出として、これはこれでいいかな。