昔読んだか聞いたかした話で、


近代化にはまだちょっと遠い頃、

とある南の小さな島に遠いヨーロッパの国からの船団が
大シケかなんかに巻き込まれて流れ着くわけですよ。


この島には親切な住民が居て、
長い漂流で食料も尽き果てて弱っているヨーロッパ人に
何かを食べさせて体力を回復してもらおうとするんです。


でも島民にしてもここのところのシケ続きで船も出せず
魚介類のストックも尽きてしまっているため、
普段自分たちが食べている椰子の木の繊維から作ったパンしかない。


これも彼らにとっては島の風土に根ざした大事な食料ですが、
いかんせんローカルフードなので都会の人が好んでくれるか自信が無い。

てかムリだろう、ってことで

欧州人が好むスパイスを調合して
生地に混ぜてみたり
貴重な油を使って揚げてみたり
知恵を絞ってそいつを加工するんです。親切な人たちですね。


でもやっぱり木の繊維から作ったパンなんて文明人の
口には合わなかったようで

ぐがーゲロまず!


と突っ返したいところですが

なんせ空腹と疲労がピークに達しているもんですから、
贅沢は言わず有難くいただくわけです、ヨーロピアン。


島民もその様子を見てホッとして
ワシらもメシにすっぺや、と
自分たち用の加工していないプレーンなパンを食べ始めるんですね。



それを見ていたひねくれもんのヨーロッパ人の一人が


兄ちゃん、アンタが食ってるそいつを俺のと交換してくれねーか?




ととととんでもございやせん旦那
アテクシたちの粗末なパンなんて恐れ多いでござんす、どうかご勘弁くだせぇ


なんてやり取りがあるんですが





結局いただいちゃうんですね、ひねくれもんが。




そしたら


こっちのほうが
素材の風味が楽しめてンマイじゃないか!

ってことになるんです。


何のことはない、最初から小細工せずに自信持って出してりゃ良かったってハナシ。





わたくしはこのエピソードを

去年にたないけんの歌を聴きながらなんとなく連想していました。


当時の彼はバンド活動を休止中だったので
ライブはいつもソロ弾き語り。
そうなると聴き方も必然的に曲の魅力そのものを味わうような感じになりますよね。


んでその期間何度か弾き語りで聴いて


この人の歌は本当に自然体だなぁーと。


いかにもなキャッチーなフレーズを入れてみたり
ウケ狙いの踊らせるようなリズムにしてみたり
複雑なコードを使ってドヤァってなってみたり
コール&レスポンスなんてめんどくさいことしてみたり

なんて小細工が一切無い。

ただにたないけんという素材を自然にアウトプットしてるだけ。

そしてそれだけで十分に良い。聴いてて楽しいし心に沁みる。


例えば周りのアーティスト達が
なんとか工夫して
カッコいい曲を作ろう、ウケるアレンジを考えよう
と、日々精進している間に

彼は下町の商店街を散歩して家に帰って美味い肴を作って酒を飲んで本を読む。
たぶんそれだけ。

淡々とにたないけんを醸造するだけ。

それで誰よりも強烈に人の心を動かす歌を作るナチュラルキラー。
これ、他のバンドマンからしたら脅威なんじゃなかろうか。笑

自分にとっては別格の存在です。


そしてそんな彼の歌を鮮やかに彩る

ユキコロンドン(Keyboard)
ミズタニリョウタ(Ba)
アンスズキ(Ds)

という強力かつ魅力溢れるメンバーにめぐまれ

今年一月から活動再開したずぶぬれシアター

バンドとしては3年ぶりに
「またロックするよ」に出演していただけます。

ロック!


ずぶぬれフリークはもちろん、
まだ彼らのライブを観たことが無い方、
どこへ行ってもどっかで聴いたことあるような借り物みたいな歌ばっかりで辟易してる音楽好きの皆様、

この機会に是非、
リアル吟遊詩人が奏でるドラマに心をずぶぬれにしていただきたいです。


<動画:うそでもいいのさ>




・・・って



あの飄々とした佇まいから

イメージだけで書いたけど…




実はにたない君、







想像を絶する努力家だったりして。笑



2014年8月20日(水)

池袋Adm
「またロックするよ」
Open18:00/Start19:00
\2000/\2500(+1D)


出演:
ずぶぬれシアター
韓流セレブレイト
ThreeQuestions
toitoitoi
よのっしー天覧バンド

DJ嫁の金
フード:
キャナコ屋Cafe&Bar Loin D'ici

展示:おゆみの書


宜しくお願いしますm(_ _)m