君の嘘と、やさしい死神
著/青谷 真未
ポプラ文庫ピュアフル




うわぁ、ライトノベルかよ、ってまず最初に思った。
ライトノベル、、、別にライトノベルを馬鹿にするつもりはないけど、やはり一般的な小説と比べると、登場人物の会話が多く、小説としては分かりやすいけど、中身は薄いだろうとたかをくくっていた。失礼ながら、そんな気持ちで読み始めていった。
ストーリーを軽く説明させてもらうと、学園物で、病気で余命の短い女子高生と、頼まれると嫌と言えない目だだない男子校生の話。文化祭で落語を披露したいという女子高生に、最初は嫌々ながらも協力するも、次第に女子高生の真剣さに惹かれていき変わっていくという、まさに王道中の王道。もう先を読まなくても分かるようなストーリーである。
ここでタイトルをもう一度見て欲しい。君の嘘と、やさしい死神である。君の嘘、、、これはおそらく女子高生が男子に死ぬことを隠しているんだろうな。で、優しい死神っていうのは、頼まれたら嫌と言えない優しい男子高生のことか・・・・ん、死神?優しい男子高生と死神は、まさに対極ではないか。それをなぜ死神と表現しているのか。男子高生が女子高生を地獄に落とすから死神?え、そんなことはないだろう、、、では、なぜ主人公の男子高生は死神であるのか。そもそも、君の嘘とは、女子高生が病気であることを隠していることなのか?実は、その謎が判明したとき、全ての点が線へと繋がり、計り知れない感動を生み出しているのである。だから、あんなに女子高生は必死で落語をしようとしていたのか。断れないが故に忙しい男子高生をわざわざ連れて、落語をやろうとしたのはそういうことなのか。そして、なにより生きることに執着している女子高生を見事に描ききっている。うまい、うますぎる。
ライトノベルとて侮るべからず。このストーリーに感動することを約束する。平成最後の大傑作かも知れない。