朝井まかて『秘密の花園』読了。



自立するほど分厚い本で、

古文・漢文混じりのような文体、

馴染みのない漢字や語句はかながふっていないと読めないけれど、初出でかなをふると以降は無いので、音でなく字面で認識するしかない。

これは読了するのだろうかと思ったほど難しい。


曲亭馬琴というのは馴染みがなくて、中学校の文学史では滝沢馬琴と習ったと思う。

放蕩の果てに戯作に己の道を見つけるも武士の誇りを捨てず、町家に婿養子に入っても滝沢の姓を名乗り、お家再興に生涯尽力する。

その生き様、戯作者としての書き様は凄まじい。

『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』など、望み通り百年のちの読者に、もっとのちの読者に届きましたよと教えてあげたい。

なぜ、秘密の花園?

感情移入はしにくい小説だったけれど、それがわかるくだりでは震えて泣きそうになった。


朝井まかては好きです。

果たしてこの本はメルカリで売れるだろうか。

朝井まかての『類』は売れませんでした。

『類』のほうが読み返す可能性は高いのでよいのですが。