類は気付いていた。

 

つくしの態度が何処か変な事も、

時々哀しい顔をするのも…。

 

その原因が、俺の断れない縁談だって事も。

 

俺に言えなくて、一人で悩んで我慢して・・

もうそんな事もそろそろ限界だし終わりしないとね?

 

牧野には今以上に強くなって貰わないと駄目だ。

英徳学園に居た頃、俺達F4に宣戦布告したみたいに。

あの時、俺ら4人共に驚いたんだ。

俺らより小さくて弱い筈の女の子の牧野がたった一人で

全校生徒相手に酷い苛めや暴力に負けず、逃げずに立ち向かって来た事。

それ故に、伝説の英徳のジャンヌダルクと呼ばれた事も…。

 

 

これからも俺の隣に居る以上は嫌な事も辛い事も今より

多くなるだろうけど。

俺が全力であんたを守るから信じて欲しい。

本当言うと‥俺の断れない縁談話を聞いても

我慢なんかしないで良かったんだ。

蓮にも言いたい事言えば良かったんだ。

多分それさえも言わせない様に相手は仕向けたんだろうけど。

会社の上司に言われたら…そりゃ流石のあんたでもビビるよね?

ごめんね、辛い目に遭わせて。

 

 

 

類の部屋は学生の頃とは違って

テレビとキングサイズのベッドだけの部屋では無くなった。

私がお邪魔するようになってから新しく

お洒落なカフェテーブルと椅子2脚が置いてあり

白い3人掛けのソファーが窓際に鎮座している。

 

類はつくしと向かい合う形でカフェテーブルの椅子に座った。

そして、つくしに手招きした。

 

「おいで。」

 

「うん。」

 

コンコン。

 

「失礼致します。」

 

はな枝が、ワゴンに載せた紅茶ポットとカップやスプーン、

ミルクやレモン、お砂糖等をテーブルにセットして

マドレーヌやマカロン等の焼き菓子の盛ってある籠を中央に置いた。

そして私の為に水の入ったコップを静かに置いた。

3分計の砂時計を置き

 

「それでは、砂時計の砂が落ちたら紅茶の飲み頃ですので、

後はお任せしても宜しいでしょうか?」

 

「うん、ありがとうはな枝。牧野と大事な話があるから

暫く誰も寄せ付けないで?」

 

「はい、畏まりました。失礼致します。」

 

はな枝が出て行くと類は部屋の内鍵をカチ閉めた。

 

つくしは砂時計の砂が落ちるのをジッと見ていた。

 

まるで類との時間の終わりを告げる様に

砂が落ちてもまだ砂時計を見ている。

 

「砂全部落ちたね。」

 

「えっ?」

 

「砂時計。」

 

「あゝ・・砂時計‥ねぇ・・うんそうだね?」

 

「…お砂糖1個とミルクたっぷりでいい?」

 

「え、あゝ‥うん。お願いします。」

 

「了解、その前にあんたは風邪薬飲んどきな?」

 

「あっ、そうだねうん。」

 

つくしは自分のバックから風邪薬と胃薬を出して

水でそれを飲みこんだ。

 

「ゴクッ・・ふっー。何故か風邪薬って苦いよね?」

 

「くすっ、俺も苦手。」

 

類が紅茶をカップに注いで、角砂糖を1つ入れてスプーンで

クルクルかき混ぜ、その上からミルクをたっぷり入れた。

そうすると、紅茶がミルクと溶け合い優しい色に変わっていく。

それをじっと見つめるつくし。

 

「ねぇ、ミルクティーってほっとする優しい色だよね?

私、この色が大好き。」

 

「うん、俺もこの色好きかも?でも紅茶は何も入れない方が好き。」

 

「ふふっ、知ってる。」

 

「お互いの好み分かってるのっていいよね?」

 

「…。」

 

「隠し事も分かっちゃうよね?」

 

「…隠し事なんて…私には無いけど?

類にはあるの?」

 

「素直じゃないね、まきの。」

 

 

 

 

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