いつの間にか眠ったのであろう

目が覚めて、ベッドサイドの目覚まし時計の時刻は朝の6時だった。

 

サラは着替えると顔を洗い身支度を済ませるとリビングに行き、

全自動の珈琲メーカーにミネラルウォーターを入れて

2杯分の珈琲を淹れる為のスイッチを入れた。

珈琲好きな真一郎の揃えているこの機械は

豆を挽いて淹れてくれる優れもので

毎回挽きたての珈琲が味わえる。

珈琲豆も最上級品のブルーマウンテンである。

 

少し時間は掛かるが、その分専門店で飲む珈琲と同じ

香りを楽しむことが出来る。

 

昨日買って置いたマフィンをトースターで軽く温めて

お皿に乗せ、コーヒーカップをテーブルに置き

サラは珈琲が出来上がるのを待った。

 

ガチャ

 

「おはよう、早いんだな?」

 

「おはよう、新一郎こそ随分早いじゃない?珈琲飲む?」

 

「あゝ貰おうかな?」

 

「マフィンも食べる?」

 

「悪いけど食欲は無いからいいや。」

 

「そう?じゃあ、私だけ悪いわね?」

 

良い香りが部屋中に漂い、珈琲が入った。

 

サラが珈琲カップを差し出すと、新一郎は新聞を広げながらそれを

受け取った。

 

サラはマフィンを片手に珈琲を飲んだ。

 

「ねえ、これからの治療の方針もあるから聞いておきたいんだけどいいかしら?」

 

「何を聞きたいんだ?」

 

「如月総合病院に記憶喪失で入院している

佐倉美桜・・彼女は本当は誰なの?」

 

「記憶喪失が治れば彼女から聞けばいいさ。

僕が話してもどうせ嘘かも知れないだろう?

…それに、真実なんて・・・この世の何処にあるのか?」

 

「どういう意味?」

 

「人それぞれ、置かれている立場が違えば考え方も

真実さえ違って来るものだよ。

僕の正義は僕の正義であり、他人の正義では無いって事だ。」

 

 

「真一郎?」

 

「サラは彼女の記憶を取り戻す事だけ考えてればいい。

その為に、NYから来て貰ったんだから。」

 

新一郎の正義って?

他人の正義と違う?

どういう意味なの?

真実が何処にあるのか?って‥真一郎は何を考えて居るの?

 

 


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