美桜の部屋に祖母の志保がやって来た。

 

部屋に入るなり、志保は驚きの声をあげた。

 

「まあ、美桜ちゃんなの?そのマスクは一体何なの?

…驚いたわ、それ・・まるで犬神家の一族のスケキヨみたいね?」

 

「犬神家の一族?スケキヨっておばあ様誰の事?」

 

「そうよね・・美桜ちゃんは知らないでしょうね?

昔、犬神家の一族って映画があったのよ。

横溝正史って言う推理作家さんが書いた小説でね?

金田一耕助という探偵が出て来るのよ?

悪魔の手毬歌や八つ墓村とか獄門島とかあってね?」

 

「みんな、なんだかすごーく怖そうな題名ですね?」

 

「そう、皆すごーく怖いのよ。殺人事件が必ず起きるのよ?

犬神家の一族もそうなのよ?

戦争で顔を怪我した息子が戦争から復員して帰って来るんだけどねぇ、

その息子が、美桜ちゃんが被ってるような

マスクを付けてたのよ。だからスケキヨマスクって言ったの。」

 

「あゝそうなんですね?」

 

「当時は・・凄く流行ってたのよ・・まあ好みもあるけど。

ドロドロした人間関係って、癖になる程嵌まるのよ。

それに金田一耕助役の俳優さんがカッコよかったのよね。」

 

「金田一少年の事件簿ってマンガがあるけど

それに関係あるのかしら?確か実写でドラマ化されてたけど・・

じっちゃんの名に懸けてって名セリフがあるんだけど。」

 

「そうよ、金田一少年の事件簿は金田一耕助の孫のお話みたいね。

実はそれも好きで、私ドラマを見てるのよ?

主役の男の子が若くて素敵なんだもの。」

 

「おばあ様にそんな趣味があったなんて知らなかったわ。」

 

「今度、DVD持ってきましょうか?私持ってるのよ?」

 

 

 

 

 

「えっ・・でも・・。」

 

「遠慮しないで、どうせ私もあなたも

凄く暇なんですものねぇ?私も今は美桜ちゃんの病院にお見舞いに

行くのが唯一の楽しみなのよ?

外出なんて‥この年になったらあまりしなくなったから。」

 

「おばあ様、ではお願いします。」

 

「ええ、任せて頂戴。ついでに犬神家の一族も見る?

私のお勧めなのよ?」

 

「…ちょっと怖いのは‥苦手で・・。」

 

「そう?

面白いとは言えないけど、怖くてスリルがあるのよ?

それにね、殺人を起こす人間には、それぞれ深い理由があるの・・

私はね、推理しながら見るのが好きなのよ。」

 

「おばあ様・・推理するのが好きなの?」

 

「ええ、この人が怪しいと思った人じゃなく

大概は的外れな事が多いけどね?」

 

 

 

 


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