慌てて玄関に飛び込みつくしは急いで、はな枝を呼んだ。

 

「はな枝さん、すみませんタオルを、タオルを貸してください。」

 

その声で、はな枝は何かあったと感じ直ぐに数枚の真新しいタオルを持って現れた。

 

「つくし様どうなさいました?」

 

「私、大失敗しちゃいました。お客様にバケツの水を掛けてしまって。」

 

「まあ、大変それでお客様は?」

 

「あっ、私慌ててお客様を置いて来ちゃいました。どうしよう・・。」

 

「分かりました、私が参りますのでここでつくし様はお待ちください。」

 

「いいえ、でも私のせいですから、私が行かないと。」

 

「心配には及ばんよ?もうそんなには濡れちゃいない。」

 

そこには先程の白髪頭の男性ともう一人の男性が立っていた。
つくしはそこで、初めて男性の顔をしっかり見た。

 

「あっ・・。」まさか、そんなここにいる筈は・・でもあの人は・・・。

 

「これは、いらっしゃいませ。申し訳ありません濡れた上着をお預かり致しましょう。
良かったらタオルを・・。」

 

「あゝそうだな、上着は頼むよ。だがもうタオルはいい。」

 

「はい、直ぐに上着をクリーニングさせて頂きます。おズボンの方は大丈夫でしょうか?」

 

「あゝ大丈夫だよ。」

 

「では、お預かり致します牧野様。」

 

「ふむっ・・。」

 

「牧野って・・・やっぱり・・私のおじいさん?」

 

「久しぶりだな、つくし大きくなったな?」

 

「うっ・・おじいさ・・・ん。」

 

つくしは、思わず晴一の胸に飛び込んだ。子供の頃いつも晴一の温かな胸の中は
つくしだけの場所だった。
大きなおじいさんの手がつくしの頭を優しく撫でる。
一気に6歳の自分に戻ったような気がした。

 


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