あきらと総二郎が類の邸にやって来て、例のテープを手渡した。
念の為にあきらはコピーを渡し、もう一つマスターテープも類に渡す。
類はそれを受け取り直ぐにコピーしたテープを秘書に手渡しマスコミに知らせる為に
急いで報告書を作成させる。

 

「助かった、サンキューあきら、総二郎。」

 

「いや、司に見せなくてかえって良かったかもな?」

 

「あゝテープを司に渡してたらあいつの事だ、直ぐ捨ててしまったかも知れねぇしな?」

 

「あゝ、きっと怒り狂ってテープは残ってねぇだろう?」

 

「いらっしゃいませ、西門さん、美作さん。」

 

つくしが、メイドに代わって珈琲と紅茶を持って来た。
自分と類には抹茶ミルク。

 

「よおっ、牧野久しぶりだな?」

 

「つくしちゃん、元気だった?」

 

「はい、お久しぶりです。元気でしたよ、さあどうぞ。美作さんは
紅茶、西門さんは珈琲・・類と私は抹茶ミルクね。」

 

「抹茶ミルクだと?抹茶に不純物混ぜんじゃねぇ。」

 

「俺、これ好きなのに?」

 

「私も大好きなのに駄目なの?
西門さんが点ててくれる本格的な抹茶に入れるならさ、
ミルクはやっぱり特濃生乳無調整とかがいいんじゃない?
美味しいよきっと・・飲んでみたいな・・茶人の淹れた抹茶ミルク。」

 

「お前な‥茶人はそういうのは・・・。」

 

「つくし、それいいね。総二郎今から抹茶点ててよ。
うちにも茶室や道具はあるからさ、
はな枝に特濃ミルク持って来て貰うから、いいでしょう?」

 

「お前ら人の話を聞け。」

 

「あれっ、西門さん怒ってる?もしかして私ったら失礼な事言っちゃったの?」

 

「まあまあ、総二郎も剥きになんなよ。冗談に決まってるだろう?」

 

類とつくしは目を見合わせて同時に首を横に振る。


 

「こいつらは、本気で言ってやがるんだ・・あきらこいつらの真剣な目を見て見ろ。」

 

「うっ・・嘘だろう?類は仕方ないが、牧野お前も天然ボケか?」

 

「天然ボケって酷くない?まあ・・茶人に抹茶ミルクって言うのは
多少失礼だったかも知れないけどさ・・。」

 

いや、十二分に失礼を通り越してるぞ?
総二郎の眉間の皺がピクピクと波打っている。

 

「類様これで宜しいでしょうか?」

 

秘書が作った報告書をあきらや総二郎も覗き込む。

 

「あゝこれを父さんに渡して後は父さんの指示に従って。」

 

「はい畏まりました。」

 

「これで、相手の出方を待つだけだな。」

 

「あゝこれでぐうの音も出ないだろうが・・。」

 

「類、・・・今度の事・・京都のおじいさんにも知られたよね?」

 

「あゝこれだけ騒がれたらね・・でも大丈夫だよきっと・・。」

 

「大丈夫って・・そんな訳ないよ・・。きっと昔の事思い出して嫌な思いをしてるかも
知れない・・心配だな・・。」

 

「あんたは優しいね。」

 

「そんな事ないけど・・。」

 

二人の雰囲気が甘いのに、あきらと総二郎は気付いた。

 

「それで、お前ら結婚はいつするんだ?」

 

「えーっ、結婚とかしないよね類?」

 

「しないのか?」

 

「今はまだね・・。でもこの事件が解決したらね。」

 

「だとよ・・つくしちゃんは覚悟してんのか?」

 

「やだ、まだ先の話だよ結婚なんて。それに類にプロポーズも付き合おうとも言われて
ないもん・・それなのに結婚なんてあり得ないよ。」

 

「あんたには何度もプロポーズしてるけど、あんたが気付かないだけでしょう?」

 

「いつ?いつ私にプロポーズしたのよ。」

 

「最初はチューリップの花束をあげた時。」

 

「あ、あああ・・あれプロポーズだったの?」

 

「そうに決まってるじゃん、俺が女の人にお花なんてあげるなんて
プロポーズ以外にある筈ないじゃん!」

 

くすっ、本当はお礼のつもりだったけど・・。
つくしの困った顔可愛いから・・つい苛めたくなる。

 

「でも・・確かあれって確かお粥のお礼だって言ってなかったっけ?
あああああああ!大事な事を類に言い忘れてた!!!
私ったらどうしよう・・。
あっ・・あのね類ごめんね。
謝るのを忘れてた。あのお花・・チューリップの事だけどね?
うちにはあんなに沢山の、まるで開店祝いのスタンドみたいな
大量のお花を生ける花瓶が、類のお邸みたいには沢山無くてね?
いや、あっても普通の花束が飾れる程度の大きさのものでさ・・。
その、ほら・・あの花束さ私一人じゃさ・・その・・
2階の部屋まで持って上がるのも無理でね・・それでお店のバケツ総動員してさ、どうにか
お花を入れて水に付けて置いてたの、そしたら次の朝お父さんが店先にそんなもの邪魔だって言うから・・。
仕方ないからお店に来るお客様に殆ど配っちゃった・・・。
私にくれたのに勝手な事をしてごめんなさい。」

 

「・・・・。」

 

「直ぐに類に謝ろうと思ってたんだけど、チャンスが無くて忘れてたの。」

 

「わぁ~そりゃひでぇなぁ・・そりゃぁ類が可哀想だぜぃ。
折角類が女に初めてプレゼントした花を他の女なら全部自分の部屋に飾るだろうな?
人にあげるなんて事は絶対にねぇな?」

 

「同情するぜ類。だが花束が大きすぎたのもな?
プロポーズならせめて100本の赤い薔薇くらいにしとけばいいのに。」

 

「あきら、100本の赤い薔薇っつーのはベタ過ぎんじゃねぇの?」

 

「そうか?プロポーズには赤い薔薇が定番じゃねぇ?」

 

「いやいや、それが似合うのはあきら、お前と司くらいじゃねぇか?」

 

「そうか?なら総二郎ならどうするんだ?」

 

「あゝ俺は薔薇なんて絶対女に贈らない。俺なら胡蝶蘭かな?」

 

「・・・・。」

 

類が何も言ってくれない‥きっと相当怒ってるんだね?
でも私だって謝ってるんだから何か言ってくれてもいいじゃない?

 

あっ類が顔をあげた・・。んっ?笑ってる?

 

「本当にごめんね?類がそんなに私の事を思ってあの花をくれたんだって知ってたら・・・」

 

「良いよ別に。あんなに大きな花束だもの邪魔になって捨てられなくて本当に
良かったよ・・。俺花を贈るのって初めてで加減が分かんなかった、
それにお花はあんたにあげたんだからどうしようとあんたの自由だよ?」

 

「類ありがとう。あのねお客さんが皆喜んでくれたの。あのチューリップ普通の品種じゃなくて
高級品種で珍しいのばかりでね?あっこれはうちのパートの和子さんの受け売りなんだけどさ?
だから、普通じゃ買えないしって、あっという間に無くなっちゃって。
でも私も・・ちゃんと記念になるように保存しておいたんだよ?だって類に初めて貰った花だしね?
栞にしたの。2枚あるから1枚後で類にあげるね?」

 

「チューリップの栞って難しいじゃないの?」

 

「大丈夫、和子さんに聞いてシリカゲルシートって言うの使うとあっという間に綺麗に出来たんだよ?」

 

「へえ~凄いね。」

 

「でしょう?」
「何だ結局お前らラブラブなんだな?」

 

「本当に早く結婚しちゃえよ。」

 

「「二人ともうるさい!」」
 
 
 
 

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