花沢邸

 

つくしと類の両親たちは未だ、ワイワイと結婚式について話をしていると
思って見ていたが、
男性陣の匠と晴男は気付けば、隣のテラスで将棋盤を持ち込み
酒を飲みながら将棋を指し始めた。

 

類はさっきから、身動きもしないで目を瞑っている。
それはそうだろう、静かな寝息を立て寝ているのだから。

 

何処からか、エリカはウエディング情報誌を何冊も持ち込み
ドレスを千恵子と見ながらあれでもないこれでもないと
夢中だ。

 

つくしは一人ブツブツと文句を言ってる。

 

ありえない・・ありえない・・普通こんな場面で一人だけ寝ちゃう?
私にどうしろっていう訳?

 

「つくし様?あのお茶とデザートのお代わりお持ちしました。」

 

「あゝすみません。あの・・はな枝さん類っていつもあゝ何ですか?」

 

つくしは類の方を見つめてはな枝に聞いてみた。

 

「・・・そうでございますね。類様はどうも何処でも寝ておしまいに
なる癖がございまして・・1回寝てしまったらご自分で目覚めない限り
誰が起こしても無駄だと分かってますので
ご両親も何も言われません・・・。」

 

「何処でもって・・風邪ひくんじゃないですか?」

 

「そうなんです、お外でも平気で寝られるようで・・
高校生の頃は英徳の非常階段でいつも寝ていたらしいんですよ?」

 

「非常階段?それって下に直にって事ですか?」

 

「多分そうだと思います。類様の服は割とそういう汚れがございましたので・・。」

 

「子供かっつーの。」

 

「えっ?」

 

「あっ、いいえ。じゃあ私が彼を起こしてみていいですか?」

 

「それは宜しいですが‥無駄だと思いますけど・・。」

 

「まあ、物は試しにって言うし・・やってみます。」

 

つくしは類の寝ているところ迄行き、
息を大きく吸うと、

 

「は・な・ざ・わ・る・い~お・き・て~!!!」

 

その声の大きさに将棋を指してた匠や晴男、ウエディング情報誌を見てた
エリカと千恵子も驚きそして二人の様子を見ていた。

 

「んっ?まきの、どうしたの?」

 

類の前に仁王立ちしているつくし。
両手は腰に当てて、大きな声で捲し立てる。

 

「まきのじゃないでしょう?つくしって呼ぶって言ったじゃない?
もうさっきの事忘れたの?人に結婚しようなんて言っておきながら
私の返事も聞かないまま、寝るってあり得ないでしょう?
失礼にも程ってもんがあるでしょうが?」

 

「つくし、こわい。」

 

一瞬シーンとなった花沢家のリビング
だが次の瞬間には今の出来事がまるで無かったように
またそれぞれが自分達の会話に気にせず戻っていた。

 

「おっ、匠待った、それは狡いんじゃねぇか?」

 

「晴男、待ったは無しだぞ?」

 

「千恵子、つくしちゃんにはこのドレスがいいんじゃない?」

 

「まあ、素敵ね?でもつくしにはこういうのを着せたいわ。」

 

全くもう・・本当に嫌になっちゃう。
声が大きいって煩いって注意してくれたらいいのに・・・
皆気にもしてない様子なんだもん・・・。

 

「つくし、あっち行こうか?」

 

「えっ?あっちって何処?」

 

「あんたの好きなオセロあるよ。」

 

類が指差す方向には続き間の小さなリビングがある。

 

「オセロ?」

 

つくしは苛々したりストレスになるとオセロがしたくなる。
類はそれを聞いて知っているのだ。

 

「そういえばさ、あんたこの間のトランプ俺に負けたよね?」

 

「あゝあれね。」

 

「勝った人の言う事聞くってあったじゃん?」

 

「う・・うんそう約束したよね?」

 

「それ、俺の奥さんになるって事でよくない?」

 

「はあっ?よくないって?‥全然、全く良くないですけどぉ?」

 

もしもよ?仮に誰かに結婚した切欠は?
って聞かれた時に、トランプで負けたからですって言えるかっつぅーのよ。
本当に類って女心ってやつに疎いよね?
だから平気で付き合ってくださいをすっ飛ばして、結婚しようとか言い出すのよね?
私にだってそれなりに、色々夢があるんだから・・・。

 

「つくし?つくしの夢って?」

 

「あっ・・・今の聞いてた?」

 

「だって、あんたいつだって思った事言葉に出してるじゃん?」

 

「嘘!もう・・いやああああああっ・・・・。」

 

「まあまあ、よしよし。」

 

類は頭をくしゃくしゃに撫でられてるが、もうそんなのどうでも良かった。

 

「千恵子、類とつくしちゃん仲がいいわね?」

 

「ええ、ラブラブって感じ?いいわね若いって。」

 

「晴男、こりゃ早く結婚の日取り決めた方が良くないか?」

 

「あゝまずはうちの親父を説き伏せないとな?」

 

「あゝそれがあったな?」

 

「まあ、一度京都に行ってみるかな?」

 

「そうか?久しぶりに京都もいいかも知れないな?
日本にいる間なら一緒に行こうかな?」

 

「匠もか?」

 

「あゝうちはつくしちゃんを貰う立場だからな?こちらから
挨拶に行くべきだろう?」

 

「・・まあ匠が一緒の方が俺も・・敷居が高いから助かるがな?」

 

「晴男、親父さんが怖いのか?」

 

「怖いと言うか、ずっと逢って無いしな?バツが悪いと言うか・・まあそういう事だ。」

 

「ならば、俺も極力時間を合わせて晴男に加勢してやろうかな?」

 

「あゝそうしてくれ。」

 

「あはははっ、頼まれたら断るのは無理だな?」

 

「こいつ、断るなんて言っても引っ張って行くぞ?
あはっははは・・・。」

 

 

 

 


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