今日は日曜日。
千恵子は行きつけの美容室で着付けと髪をセットして貰う為に朝の7時から
出掛けている。
晴男はのんびりとその間、一人将棋に余念がない。
つくしは、朝食の後片付け後に洗濯機を廻しながら
掃除機で部屋を掃除している。

 

「お父さん、そろそろ支度しなくてもいいのお母さんもうすぐ帰って来るよ?」

 

「あゝ・・そうだな?」

 

「こんな時まで将棋するなんて、お母さんに怒られるよ?」

 

「久しぶりに大学の時の友人と、同窓会の後に将棋を指す約束をしたんだ。
大学時代一度も勝てなくて悔しい思いをしたからせめて今日は俺が勝ちてぇと思ってな?
それで色々手を考えてんだよ・・・。」

 

「ふーんそんな友達がお父さんにも居たんだ?」

 

「あゝだから今夜は帰りがもしかすると遅くなるかも知れねぇが、お前絶対に戸締りには気を付けろよ?
それから、人が訪ねて来たらちゃんと相手を確かめてからドアは開けろよ?
・・・つくし一人で平気か?あれだったら友達に泊まって貰ってもいいんだぞ?」

 

「大丈夫だよ、私だってもう子供じゃないんだから。
だけどお母さんは先に帰って来るんでしょう?お父さんの将棋見てても飽きちゃうじゃない?」

 

「いや、母さんも一緒だ。そいつの奥さんと母さんが親友だから女同士で
酒でも飲みながら積もる話があるらしいからな?」

 

「じゃ、夫婦で親友同士なの?知らなかった。それじゃお母さんも遅くなるんだね?」

 

「まあそういう事だ。大学時代はいつも4人で遊びに行ってたんだ。
つくし、何だ不安なのか?やっぱり今日は早く帰って来ようか?」

 

「もう大丈夫だってば。一人で平気だから、心配しないで?」

 

「そうか?何かあれば直ぐに警察に電話しろ?母さんの携帯でもいいからな?」

 

「もう、お父さんたら大袈裟だよ?
大学時代から4人で遊んでたなんて、そのご夫婦と凄く仲が良かったんだね?
それなのにずっと逢ってなかったの?」

 

「あゝ夫婦でフランスに行ってから逢ってねぇな。あいつは跡継ぎで
フランスの支社を任されちまってな?つくしが生まれる前にはもう逢えなくなってたかな?」

 

「へえ~そんなに逢ってないなら、懐かしくて話が尽きないね?」

 

「あゝ・・だから久しぶりに将棋をな?」

 

「ふーんそうか。」

 

「ただいま、あらお父さんまだ用意が出来て無いの?遅れちゃうから早く支度をしてよね?
タクシー8時半には呼んであるんだからね?」

 

「あゝ分かってるよ。直ぐ支度する。」

 

「お母さん、綺麗だね?」

 

「あら、つくしったらそうかしらね?」

 

「ねぇ、お父さんお母さん綺麗だよね?」

 

「つくし当たりめぇだろうが?だから俺が惚れて結婚したんだから。」

 

「お母さん、お父さん照れてるよ?」

 

「つくし、もう親を揶揄わないの。
でも久しぶりの着物で草履での歩き方大丈夫かしらね?」

 

「そんなに着物久しぶりだっけ?」

 

「4~5年振りじゃないかしらね?
あゝそうそう今夜私達遅くなるからもしかしたら泊まりになるかも知れないわ。
その時には電話をするから、つくし戸締りだけはちゃんとするのよ?
人が来ても無暗にドアを開けちゃ駄目だからね?
女一人だと不用心だし健ちゃんも昨日から実家に帰ってるから居ないんだからね?
何かあれば直ぐにお隣の佐々木さんに言うのよ?それとおかしな人が来たら
直ぐに警察に電話しなさいよ。やっぱり和子さんに泊まりに来て貰おうか?」

 

「分かってるってば、私だってもう子供じゃないんだからさ。
ちゃんと戸締りに気を付けるし、それに無暗に知らない人が来てもドアは開けないから・・。
お母さん・・本当に大丈夫だよ?
そんなに心配しないで、大丈夫。和子さんに泊まりに来て貰わなくて平気だから。
久しぶりに逢う親友なんでしょう?今夜は私の事はいいからそれに月曜日は定休日だしさ
泊まって来ていいよ?夫婦で久しぶりに羽を伸ばして楽しんで来てね?」

 

「そう?それならいいけど・・。でも何かあったら必ず携帯に電話するのよ?」

 

「分かってる。」

 

両親の心配性の原因が何だか分かってるつくしは、両親に久しぶりに楽しんで来て
貰う為に笑顔で応える。

 

「お父さん~、支度は済んだの?」

 

「おお・・」

 

「あら、お父さん案外スーツ似合ってるじゃない?ちょっと待ってネクタイ曲がってるよ?」

 

つくしが晴男のネクタイを直している。

 

「あら、お父さんいいわね?娘にネクタイ直して貰っちゃって。でも何年ぶりに
お父さんのスーツ姿なんて見るかしらね?いつもは作業着の白衣だものね?」

 

「褒めたって・・何も出やしねぇぞ?おいタクシーはまだか?」

 

「そろそろ来ると思うけど?」

 

ピンポーン!

 

「お待たせしました、牧野さん~あさひタクシーです。」

 

「お父さん、お母さんタクシー来たわよ?さあ早く・・。」

 

「おお。」

 

「じゃあ、つくしお留守番頼んだわよ?」

 

「はいはい。忘れ物はない?」

 

「ええ、大丈夫。」

 

「じゃあ楽しんで来てね?行ってらっしゃい。」

 

「行ってきます。くれぐれも気を付けてるのよ?」

 

「つくし戸締り頼んだぞ。無暗にドアは開けるんじゃねぇぞ?」

 

「はーい。」


 

*****************************

 

牧野の前にタクシーが1台停まって、運転手が玄関のドアを開けた。
着物姿の中年女性とスーツ姿の中年男性が出て来て
二人を乗せてタクシーは出発した。

 

それを裕一と漣は借りて来た宅配業者のワンボックスカーの中から見ていた。

 

「さて、そろそろ始めるか?」

 

「裕一準備はいいか?」

 

「あゝこれが荷物。そしてこれが薬をしみ込まさせたハンカチ。」

 

裕一と漣は作戦を入念に話し合った。まず裕一が宅配人を装い
つくしに玄関を開けさせる。判子を貰う振りをして薬を嗅がせる。
気を失ったつくしを荷物の箱の中に入れたキャスター付きのボストンバックに詰め込む。
それを漣に手渡し、裕一は自分達の痕跡を全て消す。

 

後は実際にそれを実行するだけだった。

 

 


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