あれから元気のないつくしを晴男は心配している。

 

「母さん、つくし最近元気がねぇと思わねぇか?」

 

「そうね?前はあんなにご飯だって食べてたのに・・最近は本当に少ししか食べないし
何処か身体の具合でも悪いのかしらね?」

 

「いや、そうじゃなくて・・ほら類さん最近来なくなっただろう?」

 

「類さん?あゝそういう事ね・・あの二人喧嘩でもしたのかしらね?」

 

「そうなのかな?」

 

「聞いてもきっと、つくしは何も話さないでしょうね~。あの子割と頑固だしね?
そういう処はお父さんに似なくても良かったのにね?」

 

「頑固の何処が悪いって言うんだ?だけど俺は類さんならつくしにお似合いだと思ったんだがな?」

 

「そうね・・でもつくしは再開発反対派だしね?類さんは再開発を推進してる
張本人だしねぇ?この恋は上手く行かないかもね?」

 

「類さんがまさか、あの花沢の息子とはねぇ?」

 

「ええ、世の中は本当に狭いわね?・・処で今度の同窓会の日店を休むって
つくしにはもう伝えてあるの?」

 

「いや・・まだ言ってねぇな・・。」

 

「同窓会30年振りなんだもの、顔を出さないとね?」

 

「あゝ先生にも久しぶりに逢いたいしな?」

 

「ええ。」

 

つくしは、開店前に店の暖簾を出してから、箒で外の掃除をする。
そのあとに水を撒くのが日課である。

 

如雨露に入れた水を綺麗に掛け終わり、残ったバケツの水を思い切り
地面にバシャっと掛けた瞬間だった。

 

「つっ・・冷たい・・。」

 

「えっ?うわああっ、あのすみません、ごめんなさい・・。
こんなに濡らしちゃって・・あゝどうししよう・・。」

 

「なんで?水?」

 

「直ぐにタオルを・・。」

 

つくしは慌てて店に入り乾いたタオルを数枚持ってきて、水を掛けた人に
謝りながら服や体を拭き始めた。

 

「ごめんなさい、冷たかったでしょう?」

 

「もういいよ・・ちゃんと前を見てから道路に水かけなよね?
俺は道じゃないし?」

 

「はい、本当に申し訳ありません。」

 

つくしは頭を深々と下げる。

 

「あれっ、あんた割と可愛いね?」

 

「えっ?割とって・・一言余計だとは思いますけど?」

 

「あははっ、ごめんごめん。割とは余計だったね?撤回するよ。」

 

「いいえいいえ、そんな・・。」

 

目の前にいる男性をまじまじ見つめる。
背は花沢類と同じくらい・・いや少しだけ低いかも。
でも何となくだけど・・花沢類に似てる。
整った顔立ちは日本人ではなさそう・・。

 

「あのさ、水掛けられたんだしお詫びに俺とデートしてくれない?」

 

「はあ?デートって私と?」

 

「他に誰かいるの?」

 

「でも初対面だし・・。」

 

「あんた彼氏がいる?」

 

「いませんけど・・?」

 

「じゃあ問題は無いでしょう?」

 

「・・・。」

 

「仕事何時に終わるの?」

 

「7時です。」

 

「じゃあ、7時半にこの店の前・・俺阿木って言うんだ。」

 

「あきさん?」

 

「そう・・俳優の阿部寛の阿にきは桜の木の木・・。」

 

「あゝ、阿木さんですね?」

 

「うん。えっと君の名前は?」

 

「牧野つくしです。牧場の牧に野原の野・・つくしは平仮名です。」

 

「ふーんつくしちゃんか?可愛い名前だね?」

 

「えっ?そうですか?」

 

「じゃあ、つくしちゃん後で迎えに来るからね?」

 

「えっ?本気ですか?」

 

「本気。約束だよ?」

 

それだけ言い残して立ち去る男の後ろ姿をじっとつくしは見ていた。

 

 

 

 

 


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