滋が執事の野々村を使って調べると
花沢類の好きな女は直ぐに判明した。
女に興味が無いと専らな噂の類が、ここ最近出入りしている和菓子屋がある。
目黒川沿いの牧野という店の娘、牧野つくしだと分かったのである。

 

「野々村・・・ねぇこれって確かな情報なの?」

 

「はい。」

 

「・・・牧野つくし・・ってあの人だわ。司が知ってる女が類君の好きな人?
どういう事なの?ねぇ、この資料は?」

 

「老舗和菓子屋牧野の家系、資産やその他を調べさせてみました・・。」

 

「・・・年商は35億円?・・あの小さな店で年商が35億円って言うのは何かの間違いじゃない?」

 

「いいえ、それが正しい数字でございます。」

 

「・・・あり得ない。1個200円くらいの単価のお菓子を35億円稼ぐって冗談でしょう?」

 

「牧野はフランチャイズ契約してます。全国に220店舗あるようですね?
ただし、東京の目黒川以外は全て店名は「晴庵」という名称を使っているようです。」

 

「晴庵って・・あのお茶会のお菓子で有名な紅白梅花が有名な?」

 

「はい左様でございます。」

 

「じゃあ、あの牧野つくしは・・・お嬢様ってこと?」

 

「そういう事になります。」

 

「そんな感じが全然しなかった・・でも確かにあそこのお菓子は上品で本当に癖になる
美味しさだった・・・。でもそんなにお金があるなら何もあんな小さな店に拘らなくていいんじゃない?」

 

「晴庵は工場ではお菓子を一切作らない手作りが売りのお店です。
機械と職人の手作りでは味が違うと拘りがあるようですね。ですからフランチャイズ化した際も
条件も大変厳しく、1か月に1度は偵察に行き、味のチェックや店の経営の仕方が
条件に反してる場合は、契約解除をしたり和菓子の新作等の講習会を行ってるそうです。」

 

「・・・見かけに寄らないってこういう事を言うのね。
牧野つくし・・侮れない相手ね。」

 

「滋様?」

 

「野々村ありがとう、助かったわ。」

 

静華にこのことを報告するのはいいけど・・。
これを知ったら静華はどうするのかしら?


 

***********************************

 

花沢邸

 

「類様、お帰りなさいませ旦那様と奥様がお戻りでございます。」

 

「父さんと母さんが?」

 

「はい、お話があるそうです。」

 

「はな枝、分かった着替えたら行くよ。」

 

どういう事だ?突然日本に戻って来るなんて・・・。
 
 

 

「父さん、母さんお帰りなさい。」

 

「類久しぶりだね?」

 

「類、会いたかったわ。」

 

類は最初に母の頬にキスをして、父にハグをした。

 

「随分急なご帰国だね?何か問題でも?」

 

「あゝ・・阿倍野さんとの見合いはどうなった?」

 

「断ったけど?それが理由で戻って来たの?」

 

「そうか・・だが阿倍野さんの方はそうは思っていないようだね?
この話を進めて欲しいと言ってきた。それで直接類の気持ちを聞きたくてね?」

 

「それだけの理由で帰国したんですか?」

 

「ううん、ついでに二人で大学の30年ぶりの同窓会に出ようかと思ったの。」

 

「同窓会?」

 

「ええ、同窓会の通知が来たのよ。懐かしくて・・逢いたい人もいるから
電話をしてみたらその人達も来るって言うから逢う事になったの。
学生時代の親友なのよ。」

 

「二人でって父さんも一緒に?」

 

「ええ、だって同じ大学で2年違いだけど同じ先生に習ってたし、
懐かしい先生にもお逢いできるから嬉しくて・・。」

 

「ふーんそうか。それでついでは俺の方って訳?」

 

「まあ、類ったら大事な一人息子のあなたをついでなんて思う訳がないじゃないの?」

 

「類、母さんは君に逢えるのを楽しみに帰国したんだよ?」

 

「・・ごめん言い過ぎたね?でもお見合いは本当に断って貰えないかな?
俺好きになった人がいるんだ。」

 

「ほう、類に好きになった人がいるのか?」

 

「まあ、そのお嬢さんに逢わせて貰えるの?」

 

「まだ、相手の気持ちが分からないけど・・。でも諦めない・・。」

 

「片思いなのか?」

 

「類が片思い?それは辛いわね?」

 

「だから、阿倍野との見合いは断って欲しい。」

 

「類、分かったよ。この話は正式に断っておく。」
 
「うん、ありがとう。」

 

「ねぇ、類‥私達2週間ほどこちらにいる予定なの。久しぶりにお友達でも呼んで
パーティでも開こうかしら?」

 

「そんな大袈裟な事しないで、母さん達が本当に逢いたい人だけを呼んで食事会でもしたら?
大勢だと疲れるだけだよ?」

 

「あら、それもそうね・・。分かったわ類の言う通りに親しい友人だけお招きして
お食事会を開く事にするわ。」

 

「うん・・。」

 

 

 


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

にほんブログ村のランキングに参加中です。

 

良かったら応援宜しくです。

 

にほんブログ村の字をポッチしてください。

 

 

 

BORDER FREE cosmetics クリアVCフェイシャルローション

BORDER FREE cosmetics レチノール高配合 マルチフェイシャルクリーム

 

BORDER FREE cosmeticsセット