滋は思う存分3日間甘いものを食べられなかった分を取り戻す様に
静華の邸で甘いものを食べて満足して戻って来た。

 

静華の邸ではケーキにクッキーを食べた後から次々に甘いものが運ばれて来た。
フルーツゼリーやマカロンそれにアイスクリーム・・・。
食べれなかった3日間を取り戻す様に滋は気づけば、
我武者羅にただ、甘いものを食べる事に集中していた。
そして食べた後に後悔したのである。
司との約束を破ってしまった事を・・・。
静華はそんな事気にする事は無い、真実を言わない限りは
誰にも分からないのだからと滋を唆す。

 

汗を流すために滋はシャワーを浴びる為にバスルームに行く。
全裸になり鏡に自分の姿を映す。
いつもとは何も変わらないと思っていたが何故が胃のあたりがぼっこりと出てるように見えた。
何度も確かめるように手で胃のあたりを押してみるが引っ込む事は無い。

 

「なに?どうして?嫌よ・・私は今までスタイルが変わった事など無いのに何故なの?
胃のあたりだけこんなに出てるなんて・・・これじゃ司に嫌われるわ。
あゝ・・静華の邸で甘いものを食べ過ぎたせいだわ・・。
吐かなきゃ・・このままでは駄目よ・・太るなんて絶対に許せないわ。
スタイルだけは誰にも負けたくないわ・・・。駄目よ・・こんなの何かの間違いよ。」

 

滋はシャワーを浴びるのを忘れてトイレに駆け込み、口に指を突っ込み吐いた・・。
胃の中のものを全て吐き出すまで何度も何度も・・・。
最後は吐くものが無くなり胃液が上がってくる。

 

「うううっ・・はぁはぁ・・・。」

 

大丈夫よ、大丈夫食べた後すぐ吐けばいいのよ・・。
そうすれば、さっきの胃のぽっこりも無くなるわ・・。
夕飯もカロリー制限をして貰わないと・・。太る事だけは許されないわ。
絶対に、今までのスタイルをキープしないと・・・。

 

それにしても、いつもよりも酷いこの頭痛は何なのよ?
あのヤブ医者・・。全然良くならないじゃないどうなってるのよ?
3日間甘いものを一切取らなければ
甘いもの食べなくても平気になるって言ったじゃない・・。
どうして?こんなに甘いものが吐いても吐いても食べたくなるのよ?
苛々が収まらない・・あゝどうすればいいの?

 

滋には毎食前にきちんと飲むようにと、甘いものを制御できるように医師から
処方された薬が渡されていたが、滋はその薬を一度も飲んでは居なかった。
飲んだ振りをしてトイレに捨てていたのだ。
そんな薬で治ると信じられなかったし、甘いものを止めるなんて絶対に無理だと
思っていて、SPの目を盗んでも甘いものを食べるつもりでいたのだ。
3日間、滋は甘いものを禁止されたせいで、いつもは殆ど食べない朝食を2人前は食べ
昼食も軽く2人前、夕食も2人前以上食べていたのだ。
食べても食べても、甘いものを食べなければ満足感が得られない。

 

滋にはそんな事を考えられる余裕も無ければ頭の中は、甘いものの事だけしか
考えられなくなっていたのだ。
完全に中毒症状の一つである。その事にさえ滋は気づかない振りをした。
滋は、すでに過食症を発症していたのである。

 

****************************

 

静華は、滋が帰った後に出掛けた。
静華は夜の六本木の街では知らない人がいない程有名だった。
スタイルも顔も整い、日本ユニバースに選ばれた事のある静華は兎に角
目立つ存在だった。

 

「静華、久しぶり元気だった?相変わらず綺麗ね?」

 

「ええ、ありがとう。」

 

「静華、何してたんだよ?」

 

「よぉ、静華久しぶり。なんだ今日はいつもの取り巻きはどうした?」

 

「たまには、一人がいいのよ。それよりさ、あんた達阿木を見かけなかった?」

 

「あゝ阿木さんなら、さっきクラブKに取り巻きの女達と一緒にいるのを見かけたぜ?」

 

「そう、サンキュー。」

 

静華はどうやら阿木という人物に逢いに来たようだ。

 

クラブの顔見知りのスタッフに案内されて
暗い階段を下りて行くとそこには、女の取り巻きを4~5人連れた、
細身のスーツにサングラスを掛けた一際目立った男がいた。
背が高く細身だが、程よく筋肉は付いていて顔も整っている。
俳優のブラビに似ていて、ファンも多い。
どうやら、皆で酒を飲みながら踊ったり話をしている。

 

「阿木・・。」静華は片手をあげて微笑んで見せた。

 

周りの男達が静華に見惚れている。
そして騒がしくなった事に気付いた
阿木と呼ばれた男がサングラスを外しながら振り向いた。

 

「あゝ静華か?んっどうした?今日は一人か?」

 

「ええ。あんたに頼みがあるの。」

 

「頼み?ふーん、まあいいやあっちで話そうか?」

 

静華の肩を抱き静華を奥のボックス席に座らせてバーテンにバーボンをボトルで頼む。
周囲の男達が羨ましそうに阿木を揶揄う。
長身で美形の二人のカップルはとてもお似合いで、周囲の感嘆を浴びる。
取り巻きの女達が阿木にあっちに行ってろと言われて
不機嫌そうに離れていく。

 

氷とバーボンのボトルそれとミネラルウォーターにグラスが2つ
二人の前に置かれた。阿木がグラスを手に取り
グラスに氷を入れてバーボンの瓶の封を切り、バーボンをトクトクと注ぐ。
ミネラルウォーターを入れようとした阿木の手を静華が止めた。

 

「ロックでいいわ。」

 

「そうか?お前も酒が強くなったな?」

 

「ふふっ、そうね・・。ねぇ阿木、昔私と約束したことまだ覚えてる?」

 

「約束?そんなのしたかな?」

 

「阿木が12歳の頃からな?私は7歳だったわ。」

 

「そんな昔か?何を約束した?」

 

「お前に何か欲しいものがあって手に入れられない時は必ず俺に言えって言ったわよね?」

 

「ふーん、何か欲しいものが手に入らなくて困ってるのか?」

 

「・・ええ。」

 

「どんなものだ?」

 

「・・花沢類って男よ。どうしても結婚したいの。」

 

「・・普通の男ならお前が言えば大抵の男はお前の思い通りだろう?」

 

「・・ちょっとね、一筋縄じゃいかないのよ。」

 

「ふーん面白いな。お前に靡かない男なんて俺は逢った事ねぇな?」

 

「ちょっと変わった男なの、どんな手を使ったか知らないけど私の心の声が聞こえると言うのよ?
信じられる?でもそれが・・・本当に私の心を当てたのよ・・。」

 

「静華、その男が超能力でも持ってると?あははっまさかな?そんな男がいたとはな・・。
もしかして、そいつにお酒と一緒に自白剤でも盛られたりして?」

 

「自白剤?あゝそうだったかも知れない。」

 

「マジかよ?だけどそんな薬を本当に持ってて使ったとしたら相当ヤバいな。・・静華、その花沢類ってどんな男だ。」

 

「英徳学園にいたF4の一人よ。」

 

「F4?・・聞いたことあるような無いような・・。もう少し詳しく話せよ。」

 

「聞いたことない?日本で家柄が良くお金持ちが通う英徳学園
そこを牛耳ってたのが道明寺財閥の道明寺司、花沢物産の花沢類、美作コーポレーションの美作あきら
そして茶道表千家西門流の西門総二郎の4人いづれもお金持ちで美形ぞろいよ。
花の4人組と呼ばれてF4と呼ばれてるの。」

 

「Fはフラワーって事か?ふーんいけ好かない、ネーミングだな?」

 

「それで、その花沢類に静華は惚れたって訳か?」

 

「まあね、私と親公認の見合いをした癖に、好きな女がいると言ったのよ。
だから、私から見合いを断れと・・・。私のプライドはズタズタよ。
だけどあんないい男見た事無いわ。美しい顔立ち美しい目・・サラサラな
薄茶の髪・・・。それに背も阿木よりも少し高いかしらね?本当に理想の王子様なのよ・・。」

 

「へえ~益々いけ好かないな?そいつそんなにいい男か?」

 

「ええ、あの男の子供を産んでみたいと初めて思ったわ。妊娠とかしたくはないけど
あの遺伝を持つ子を産めるなら話は別よ。」

 

「静華が子供をね?」

 

「子育てなんてメイドにやらせればいいわ。無痛分娩で産んで、ただ私のアクセサリーとしてあの男の子供が欲しいのよ。」

 

「アクセサリーか・・相変わらずだな静華は。」

 

「私は親子の愛情なんて信じちゃいないの。子供なんていつかは親の事など
どうでも良くなるわ。親もそれは同じで・・小さな頃は可愛がられた記憶があるけど
そのあとは、教育とか礼儀作法とか‥親は子供を金儲けの道具としか思っていない。
ならば、せめて皆に羨ましいと思われる綺麗な子供が欲しいのよ。
男の子と女の子・・。」

 

「・・・。お前相当皮肉れてるな?」

 

「阿木だって・・私と同じじゃない?私の家とあなたの家は似てるもの。」

 

「・・・。」

 

「ねぇ、お願い私に手を貸してよ。あの花沢類を私だけのものにしたいの。あの男の
子供がどうしても欲しいの。どんな手を使っても・・・。」

 

「静華・・・。」

 

「阿木、あなたは私との約束を守る義務があるでしょう?」

 

「義務ねぇ・・・。」

 

「お願い・・。」

 

「情報を詳しく教えてくれ・・それから考えてみるさ・・。」

 

「花沢類が好きだと言う女を今探し出してるの・・分かったらその女を・・・。」

 

「ふーん、好きな女か・・その女が邪魔なんだな?」

 

「ええ、この世から綺麗さっぱり消して欲しいわ。」

 

「お前は相変わらずだな?子供の頃から少しも変わっていない。」

 

「ふふっ、悪い?」

 

「いや・・俺はお前らしくてそういう処が好きだよ。」

 

「やっぱり、阿木は‥私と似てる・・私も阿木が好きよ。」
 
 
 
 


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