滋は自分の事もあり、静華に電話を入れるのも忘れていた。
お見合いがどうなったか心配ではあったが、
まさかあんなことになっている等思いもしなかったのである。
お見合いから3日後、滋は静華に電話を掛けた。

 

「静華?私よ・・お見合いどうだった?類君とお話は進んだの?」

 

「・・滋、あなた・・何も聞いて無いの?」

 

「えっ?」

 

「・・・私からは何も言えないわ・・。知りたかったら直接花沢さんに聞いて頂戴。」

 

ガチャン!ツーツー・・・・。

 

「えっ?電話切れてる・・・。静華何があったの?」

 

滋は訳が分からずにそのまま、司に電話を掛けた。
だが、電話は電源が切られていて通じない。
滋は司の秘書である西田に電話を入れた。

 

「はい、お待たせしました西田でございます。滋様何かございましたか?」

 

「西田さん、司に電話を掛けたけど繋がらなくて至急連絡を取りたいの。」

 

「左様でございますか、只今司様は会議中ですので時間が空きましたら
滋様にお電話をお掛けするようにお伝え致します。
1時間後になると思いますがそれでも宜しいでしょうか?」

 

「そうなの・・会議中だったのね?ありがとう。よろしくね西田さん。」

 

「はい、では必ず司様にお伝え致します。」

 

滋は静華に何が起きたのか分からずに苛々して来ていた。
そうなると、無性に甘いものが食べたくなるのだが生憎
甘いものは一切片付けられていて、何処にも甘いものは無い。
部屋のあらゆる場所にチョコレートやキャンディー,クッキーなどが置いてあったのに
司が命じて全ては部屋から無くなった・・。
使用人も道明寺家から来た人間が、滋の世話をするようになり
食事やおやつにも砂糖や甘味料を使ったものは一切出てこない。
その上24時間いつも見張られていて、滋は安息さえ得られないのだ。

 

「誰か、お茶を持ってきて頂戴。」

 

「はい。直ぐにお持ちします。」

 

それから10分後

 

「お待たせしました。」

 

「遅いじゃない、直ぐにって言ったじゃない?何を愚図愚図してるのよ?」

 

「申し訳ございません。どうぞ。」

 

「何よ、紅茶にミルクもお砂糖も無いの?」

 

「・・・そのように申し付かっておりますので・・。」

 

「・・こんなもの飲めないわ。下げて頂戴。」

 

「宜しいのですか?」

 

「いいから早く下げて。」

 

「畏まりました。」

 

「それから、お友達の家に行くから車を用意して頂戴。」

 

「どちらのお友達でしょうか?」

 

「静華の家よ。阿倍野静華の邸に行くのよ!」

 

大きな声で喚き散らす滋にメイドも驚きの顔を隠せない。

 

「直ぐにご用意いたします。」

 

滋の苛々は頂点に達していた。

 

滋の頭の中には甘い食べ物の事しか無かった。
日曜日に病院に行き甘いものを制限された滋は、
我慢の限界が来ていたのである。

 

あゝあの桜餅が食べたい・・兎饅頭が食べたい・・・。
滋の頭の中は甘いもので一杯である。

 

車の中でも道明寺家から来たお目付け役のSPが付いている。
阿倍野邸に着くと、静華を呼び出して貰い暫く静華が現れるのを待つ滋。
紅茶とケーキが出されるが、SPの手前それに手を出す事さえも出来ない
滋には拷問のような時間である。

 

「滋、何をしに来たの?」

 

「静華?・・・どうしたの何だか痩せた?」

 

「どうでもいいけど、SPが何故ここにいるの?」

 

「それは・・色々事情があって・・。」

 

「席を外して貰ってよ、大事な話も出来ないわ。」

 

「そうね・・。あなた達席を暫く外して頂戴。」

 

「畏まりました。」

 

「ふっ、滋ったら友人の邸の中までSPを付けられるなんて何をしたの?」

 

「それは‥色々あって・・それよりお見合いはどうなったの?」

 

「何も聞いて無いのね?類さん好きな女がいるんですってね?
滋、あなたを親友だと思ってたのに・・・。私を笑いものにする為に類さんとの
お見合いを考えたの?」

 

「類君に好きな人?知らないわ・・私そんなの聞いてないわ。笑いものにするなんてある筈が無いでしょう?
静華は私の親友だもの。」

 

「本当に?」

 

「ええ、勿論よ。」

 

「じゃあ、私の味方よね?ねぇ、滋・・類さんが好きな女が何処の女か調べてくれない?」

 

「えっ?」

 

「滋なら簡単な事でしょう?私ね・・こんな風に馬鹿にされたままではプライドが許さないのよ?
滋聞いてるの?」

 

「えっ・・ええ。」

 

滋はテーブルの上のケーキが気になり仕方がない。
まるで子供のように今にも涎が出そうな程、じっとケーキに釘付けである。
そこにメイドが新しい静華の分の紅茶とケーキを持って来た。

 

「あら、美恵子さん私はケーキは要らないわ・・。」

 

「お嬢様、ケーキはお下げ致しましょうか?」

 

「えっ?静華はケーキを食べないの?」

 

静華の分のケーキが持って行かれそうなのを滋は
目で追いかける。それを静華は見逃さなかった。

 

「あら、滋・・ふーんもしかして私の分のケーキも食べたいの?」

 

「えっ?・・・ううん・・・。」

 

「ふふっ、滋ったら・・そんな事言うけど物欲しそうにケーキをさっきから見てるじゃない?」

 

「えっ?///」

 

「クスッ、美恵子さん悪いけど、そのケーキは滋にあげてくれる?それから
他にも甘いお菓子をたくさん持って来てあげて?外のSPさんには内緒でね?」

 

「畏まりました。」

 

「静華・・どうして?」

 

「ふふっ、滋あなたとうとう家族に知られたのね?」

 

「えっ?」

 

「隠しても駄目よ、滋って甘いもの中毒でしょう?それで家族に甘いものを禁止されてるんじゃないの?
だから私の邸の中にまで監視するためにSPが入って来たって訳でしょう?違うの?」

 

「何故分かったの?」

 

「滋が砂糖中毒で依存症なのは、親友だもの私は前々から気づいてたわ。
だってあなたのケーキやお菓子を食べる量は度を越してたものねぇ~?
・・・と言うよりは、異常だったかしらね?」

 

「知ってたのに黙ってたの?何故?」

 

「あら、私が注意してもあなたは止めないと分かってるし、甘いもの食べてるあなたの幸せそうな顔
みたら止められないわよ・・。親友だもの。スタイルが崩れる訳でも無いし
吹き出物がでて大変な訳でも無いのよ?そうでしょう?
それに滋は病気もしないで元気じゃない?滋の好きなものを奪うなんて親友の私には出来ないわよ。」

 

「静華・・。」

 

「さあ、誰にも気兼ねしないで食べなさいよ?我慢は身体に良くないわ?
甘いもの食べたいなら、今度からはうちにいらっしゃいよ、いつでも用意してあげるから。」

 

「静華やっぱりあなたは私の親友ね。私もあなたの為ならなんでもしてあげるわ。
類君の好きだって女も探してあげるわ。それから絶対に類君と結婚できるように
してあげるから心配はしないで?」

 

「そう?滋はやっぱり私の親友ね。さあ私の分のケーキも食べてね?
遠慮はしないでね?まだお菓子を頼んでいるし・・あゝ大丈夫よSPには気付かれないように
してあげるから・・。」

 

「お嬢様、お菓子をお持ちしました。」

 

「美恵子さん、誰にも気づかれていないわよね?」

 

「はい、大丈夫でございます。」

 

「さあ、滋。思う存分食べてね?」

 

「ええ、ありがとう。」


 


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

にほんブログ村のランキングに参加中です。

 

良かったら応援宜しくです。

 

にほんブログ村の字をポッチしてください。

 

LpLpヘアカラートリートメント

【ゼンブヌードル】8食モニターセット

 

【着圧ストッキング】ModelWalker/モデルウォーカー

wicot 薬用スカルプセラム