見上げるほど大きな病院を初めて訪れた日
検査、検査、検査。その結果…
紹介状を持って私達は すぐに大きな病院に向かいました。
家からはタクシーで15分ほどの場所。
到着したのはそびえ立つあのマンモス病院でした
感慨深さにひたる間もなく
受付を済ませ待っていると 看護師さんが迎えに来て
彼を連れて行きました。
私は待っている間 彼の実家に電話で状況報告したり
疲れて半分寝ているような状態に
なっていたのですが
それから待つこと 実に3時間
ようやく「家族の方…」と 若い男性の先生に呼ばれ
通されたのは6畳ほどの説明のための小部屋でした。
見せられたレントゲン写真は 素人目にも白く霞んで見えて
何か異常があることは一目でわかりました。
土曜の午後だったので
たまたまその日の当番医だった先生が診てくれたのですが
自分の専門ではないけれど と
前置きしたうえで 言葉を選びながら
炎症反応が強いことは間違いないし
まだすべて検査したわけではないから
はっきりしたことは言えないけれど
ご主人は癌の可能性がある
と私に告げました。
普通であれば
気が動転するかもしれませんが
その時の私は
身内に癌を患った人がいなかったのもあって
まだ癌というものがどういうものか
まったく知りませんでした。
だから
”ええそうでしょう 彼のお父さんもそうだったんだし
きっと そうだと思ってました”
くらいな気持ちで聞いていました。
それで いたって落ち着いた様子で
”先生ご自身の感覚で結構ですが
どのくらいの確率で癌だと思われますか?”
って 聞いたのを 覚えています。
その若い先生は少し考えてから
こう言いました。
”私の見たところでは 70%くらいの確率で
そう思われます”
実はこの時点でも まだ私は
事の事態をよくわかっては いなかったのです。
これで彼も煙草をやめて
少しは健康に気を使う人になってくれるだろう
とさえ 思っていました。
無知だった私は まだ不安も恐怖も感じていなかったのです。
その日 検査の合間合間で
待合室の近くを通りかかるたびに
片隅で待つ私の方に 不安げな表情を浮かべて
手を振る彼の姿が
今でも思い出されます
次回は ”病院生活の始まりと あらたにわかったこと”
をお伝えしていきます
To be continued…