毎朝3時30分に起床する。

眠くないのか?

いや眠い。できればゆっくり寝ていたい。
しかし私は結構な中年だ。

そして独身だ。ん、待て…結婚してた記憶があるが、何故俺は一人なんだ。

走る事もう何年だ?わからん。
そして結婚もして離婚もしたようだ。

そして金もない。
いやあるようなないような。 
足りないような、足りてるような。

よくわからなない迷路の人生に嵌まり混んでいる。 

だからゆっくり寝てはいられない。

目を開けたら、もう望まない現実。
ゆっくり優雅に幸せに明るくなんて、何もない。

いや何もないもいうより、悪夢のような毎日から逃れ戦うには、起きた瞬間から忙しい。

その1つの手段に走る。

早朝を走る。

絶望の淵をもうこれ以上覗きこまないように、明るく希望溢れる太陽を見る。

家内が幸せなら、外界はつまらないかもしれないし、早く家に帰って幸せを感じるという事もあるだろうが、私なんて家に何もないので、外の方が幸せを感じる。

できれば皇居外苑の芝生で瞑想していたい。

毎朝、毎夕合計20キロ走ってるが、それもこれも大会の為ではなく、苦しい今からの現実逃避だ。

いや中毒者でもある。
実際ここまで嵌り込むと、「走らずにはいられない」

走らない日は、脂汗が出てきて目眩でクラクラして、落ち着きがなくなる。
目の焦点が合わなくなり、挙動不審になる。

街中では警察官に
「ちょっと君いいかな」
なんて声掛けられてしまう。

「なんですか、私急いでいるので」

「ちよっと荷物見せてくれるかな?」

こんなやり取りをしていると、
ランニング禁断症状が発生。

突然走りたくなってくる。

気が動転しつつも、突然警察官の静止を振り切り走り出す。

「ちょっと待て!待たんか!」

警察官の怒号が聞こえる。

「応援要請願います…」などの無線連絡も耳に聞こえてきた。

走る。気持ちいい。快感だ。

やっばり走るって最高…
「待て!待ておら!」  

凄い人数の足音が聞こえてくる。

「俺に追いつけてると思っているのか?


さらにダッシュしてランニングをする。

赤灯がグルグルと街中を照らし始めた。
ウーウーというサイレンも聞こえ始めた。

ランニングしてるだけだよ。
ランニングしてるだけだよ。

心で思う。

「止まれ!!おら止まれ!!」
パトカーのマイクでけたたましく叫ぶ。

止まれない。

走るって気持ちいい。

「止まれ!!」

私の後ろには何台ものパトカーに追われている。

いやランニング中毒なだけだよ。
逃走犯ではないよー。あれー。

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