彼の名前はT。年齢は20代後半。上海で生まれ育ち、シンガポールの大学へ進学。その後米国へ移住し、昨年我が街にやってきた中国人だ。彼との出会いは某出会い系サイト。彼からメールが届いたのは丁度2ヶ月前。メールの内容は非常に曖昧で、彼が何を言いたいのか理解に欠ける所があったが、自分に好意を持っている事は明らかだった。数回ほどメールのやり取りをしたが、何時の間にか自然消滅になっていた。彼の写真を見たが、イケメンではあるが、自分のタイプでは無かった事も自然消滅した理由の一つだった。


そして2週間前、彼の存在など忘れていた頃、再び彼からメールが届いた。余り気乗りはしなかったのだが、彼に会ってみる事にした。待ち合わせの時間に10分程遅れて彼は姿を現した。スラッとした格好に爽やかな顔。写真とは少し違っていたが、世間一般で言うとイケメンである事は間違いない。しかし、残念な事に、自分のタイプとは少し違っていた。


車に乗り込み、郊外のアジア系レストランへ向った。車中、彼と会話をするが、シャイなのか、時折無言になる。レストランに到着し、黙々と食事をする姿は会話を楽しむと言うより、空腹感を満たすだけにしか見えず、初めての出会いを楽しんでる雰囲気を感じさせなかった。そんな彼を見ていると、自分の気持ちは益々冷めて行き、食事をしたらそのまま彼を家へ送り届けるつもりだった。


レストランを出た頃、丁度8時を過ぎていた。少し早いが、彼のアパートの場所を聞き、彼を家へ送る事にした。彼のアパートへ向う途中、近くに夕焼けの美しいビーチがあることに気づいた。彼には何も言わず車をそのビーチへ走らせた。少し肌寒く、時間も8時を回っていた事もあって、ビーチには人影もまばら。しかし、夕焼けが海に反射して美しい景色を見せてくれた。


ビーチに座り、色んな話をした。美しい景色も手伝ってか、やっと彼は笑顔を見せるようになった。話をしていると、色んな事が判ってきた。数日後に彼はNYへ引っ越す事や、中国では有名人であった事。シンガポールではモデルをしていた事など、かなり華やかな人生を送って来た。現在永住権を申請しており、暫くは米国に住む計画らしい。自分の様な一般人とは離れた世界に居た事は間違いなかった。


1時間程ビーチで話をし、日も暮れかかったので車に戻る事にした。彼はリラックスしたのか、その後は良く話をし、笑顔も頻繁に出す様になっていた。途中、喉が渇いたので、近くのスタバでお茶をした。所が、夕食が合わなかったのか、彼は軽い腹痛を訴え、トイレへ行ったきり戻ってこない。さすがに心配になり彼を気遣うが、大丈夫の一言。スタバを出て、彼の家へ車を走らせるが、車中腹の調子が良くないらしくトイレへ行きたい様子。車は運良くウチの近所を走っていたので、急遽ウチに向う事になったのです。


SHORT LOVE-後編へ