スーパーの袋を重そうにかかえた間抜けな日本人2人組はそのまま本屋に入った。


この本屋にはCDコーナーが併設されている。

音楽好きな同僚にあやしげな聞いたこともない歌手のCDを選ぶ。

しかし、これは誰なんだろう? ま、いっか。

なかなかいい感じだ。


漫画コーナーでストリートファイターの古本を見つけた。やったこれもお土産だ。

これはゲーム好きの後輩へ。安く上がってよかった。

当然イタリア語なのでこんなのをもらったら困るだろうなぁ。うひひ。

あ、GS美神だ。あの人これ好きだったな。よし、27巻を買ってやれ。わはは。

と、こんな感じでなかなか日本で手に入らないお土産をあれやこれやと買った買った。

満足満足。


反省をいかし帰りはタクシーでホテルまで帰ろう。

あらかじめ聞いていたタクシー乗り場へ向かう。

最悪車内で襲われた時のことを考えると喧嘩の弱そうな奴か老人がベストだが。

あかん、めっちゃ強そうな兄ちゃんが一番前や。

でも、仕方がない。

「チャオ」

無言でにらまれた。

う・・・挨拶が軽すぎたか? ひるまず続ける。

「ディス」

地図を見せホテルを指差す。

エンジンをかけた。無言だが了承したようだ。


割り込みもクラクションもバンバンやる。

するすると車の間を抜けていく。

たいしたもんだ。


1ユーロチップをあげた。

怖そうな兄ちゃん(タクシーは世を忍ぶ仮の姿)が嬉しそうに「グラッツェ」

おお、イタリアでの親切は金で買うに限る!

ジャパンマネーだ! 黄金の国ジパングだ! ジャパンマネーならあるぜ!

と騒ぎ立てているとよめに怒られた。

どこでスリが狙っているかわからんのだ。

危機感を持ってほしいもんだ、うむ。