お正月に親戚が集まったときに

ロンドン留学の思い出話をしたところ

「1度でいいからイギリスへ行きたい。

御姫様のような旅がしてみたいわ」

と80歳越えの祖母が言って

5泊7日のロンドン旅行に同行することになった孫娘の「私」

まだ携帯が普及していない頃。

伯父たちが資金を出して手配してくれた

飛行機は日本の航空会社のファーストクラス

ホテルは5つ星、

ジュニアスイートでバトラー(ティム)付き。

 

こんな旅行ならしてみたい。飛行機が怖くても。

その前に英会話。通訳機に頼ればいいか。

 

祖母姫様は骨董品蒐集、寺社仏閣巡り、能、歌舞伎、

茶華道、謡、小鼓など、多趣味。

本物を見極める眼を持ちながら、

最高の自分を維持し続けるための努力を惜しまない人。

お姫様力全開で、ロンドン塔、ナショナル・ギャラリー、

ハロッズや三越でお買い物、ミュージカル、

オリエント急行ディナーツアーなどを満喫します。

 

宿泊するホテルで当日の午前に予約をねじ込んだ

アフタヌーンティーは1人前のサンドイッチ、

手の平よりひとまわり大きなスコーン、

日本の1、5倍サイズのケーキ。

英国粉モンパレードは昼食を抜いても食べきれないほど。

日本人には日本式の「少量ずつ種類たくさん」が

向いているのかもしれません。

 

「私」はロンドン行きの飛行機のCAさんに請い

「ホスピタリティ」を丁寧にご教授していただいたせいか

ホテルのスタッフからは秘書(お世話係)と認識されたようで

ドアマンやバトラーから注意や優しい叱責を受けます。

実年齢より若く見える日本人女性へ

父や兄のような気持ちで彼らはことばをかけたのでしょう。

「私」も心に留め置いて行動するようになります。

 

最後の夜に「T」とその仲間「私」を冒険に誘ってくれた。

出来過ぎな小さいアクシデントまで起きてドキドキでしたが

素敵な思い出になりました。

 

ホテルを発つ日に祖母姫様はバトラー(ティム)を労おうと

寿司ランチに招待します。

3人前の握り寿司を用意するために「私」が奔走しました。

は前夜の孫娘の大冒険を知っていたのかもしれません。

 

空港で心残りがないようにお買い物を楽しみ、

ファーストクラスのラウンジのお手洗いで化粧直しをしながら

祖母が孫娘に伝えたことは

これから世間を渡っていく上で大切な心構えでした。

ぜひ御一読ください。

 

本の中でふたりと一緒にロンドン旅行を楽しみましたが

以前から英国に興味を持っていたので

行ってみたくなりました。

 

飛行機が怖くても。