南 与 兵 衛
後に 南方十次兵衛 仁左衛門
濡 髪 長 五 郎 獅 童
平 岡 丹 平 亀 鶴
三 原 伝 造 吉之丞
母 お 幸 吉 弥
女房 お 早 孝太郎
お幸とお早は楽しそうにおしゃべりしているので
嫁姑の関係は良好。
お幸が元遊女のお早に
「お客様に吸い付け煙草を出さないよう」
と注意して笑って終わる。
吸い付け煙草=遊女が煙管に煙草を詰め火をつけて
すぐ喫煙できる状態にして客に渡すもの
お早は初めからお幸の味方(=長五郎を逃がす)。
元遊女のせいか一般常識からやや外れた
おっとりした女性に感じたけれど
頭の回転が速くて気転も利く人だった
亡き父の名前と役目を継ぐことになった与兵衛が
とても嬉しそうに帰宅する。
仁左様の笑顔を見られて嬉しいと思いながら
この後に待ち受ける悲劇がわかっているので
与兵衛が可哀想になる
長五郎を探しに来たふたりの武士は役人ではなく
被害者たちの身内(兄と弟)だった。
亀鶴さんの台詞なので集中して聴いていてわかった。
お幸は実の息子長五郎と義理の息子与兵衛との間で
与兵衛は亡き父(役目)と義理の母お幸との間で
長五郎は実の母と義理の兄との間で
義理と人情が絡み合った難しい選択を迫られる。
ここで引窓が登場。
引窓=屋根に作った採光用の木製の引き戸で
つないだ縄を引くと閉まって、ゆるめると開く仕掛けになっている
自首すると言う長五郎をお幸が引窓の縄で縛るが
与兵衛は縄を切る。
開いた引窓から十五夜の明るい光が差し込む。
「朝になったから自分の役目(の時間)は終わった」
と、与兵衛は長五郎に旅費を渡して逃がす。
重要なことが次々と起こり、展開が早いので
しっかり観ていないと感動し損なう。
前回(21年前)、かなりぼーっと観ていたようで
今回はたくさん発見と感動がありました