2018秋ドラマ出揃う オリジナルは4分の1 大石静、井上由美子ら女性脚本家がずらり  | かなこの「恋はときどき」

かなこの「恋はときどき」

いまどき男女の恋愛事情と、ドラマや映画の批評を、ときどき更新します。

 10月期開始のNHKと民放各キー局の秋の連続ドラマが出そろった。前クール同様、相変わらず原作ものが強いが、この期は珍しく刑事・推理ものが少ない。一方で最終回がクリスマスシーズンに重なる秋ドラマならではだろうか、恋愛ものが3分の1近くを占めた。全体に、女性脚本家が目立ち、NHK朝ドラの経験がある脚本家も5人いる(大石静、井上由美子、橋部敦子、浅野妙子、羽原大介)。

 

 この稿では、まずはオリジナルドラマの概要から。オリジナルの脚本は25本中の8本(32%)を数える。シリーズもの2本(相棒、科捜研の女)を除いた順然たるオリジナル脚本は6本(24%)だが、今期は実力派の脚本家が顔をそろえた。大石静、野木亜紀子、橋部敦子、井上由美子、橋本裕志らだ。

 

まず大石静は、朝ドラ「ふたりっ子」から、「家売るオンナ」まで手掛けた大御所。今季はTBS系「大恋愛」(金曜、22時~、10月12日初回)を書き下ろした。戸田恵梨香とムロツヨシが、若年性アルツハイマーにかかった女医と元小説家との純愛ドラマを演じる。

 

朝ドラ「ひまわり」や、キムタクと組んでの「GOOD LUCK!」「BG」を作った実力派の井上由美子が脚本を担当するのは、テレ東の月曜夜10時の「ドラマビズ」枠。サラリーマンもの「ハラスメントゲーム」(10月15日初回)で、全国チェーンの大手スーパーを舞台に、コンプライアンス室長の唐沢寿明が、部下の広瀬アリスとともに、パワハラ、セクハラ、マタハラ等、さまざまな社内外のトラブルを解決する。井上は脚本と並行して同名の小説も執筆、河出書房新社から今月、発売した。

 

高橋一生のゴールデン帯民放ドラマ初主演が注目されているフジ系「僕らは奇跡でできている」(火曜、21時~、カンテレ制作、10月9日初回)は、橋部敦子の作だ。高橋演じる変わり者の生物学者が主人公のハートフルなコメディーという。共演は榮倉奈々、要潤ら。朝ドラ「ファイト」、キムタクの「A LIFE~愛しき人〜」などを手掛けた橋部による書き下ろし。

 

今年冬季に「アンナチュラル」が話題になった野木亜紀子は、日テレ系「獣になれない私たち」(水曜、22時~、10月10日初回)でラブコメを描く。「重版出来」「逃げるは恥だが役に立つ」とコメディでも定評がある野木が、「逃げ恥」で組んだ新垣結衣を主演に書き下ろした。今回の相手役は松田龍平。クラフトビール専門店が舞台とイマドキっぽい設定で、ECサイト制作会社員と公認会計士はどんな恋に陥るのだろう。

 

オリジナル脚本を手掛けたのは女性ばかりの中で黒一点は、橋本裕志。米倉涼子の新シリーズとして局側の期待がかかる新作「リーガルV」(木曜、21時~、10月11日初回)だ。米倉演じる元弁護士が、訳アリの弁護士やパラリーガルらで弱小弁護士事務所を編成し、巨大事務所をぎゃふんと言わせる痛快な下剋上ドラマになりそうだ。局側は、続編を断られたと噂のあるドクターXに続いて、米倉を主演に、強いヒロインが悪者をとっちめる勧善懲悪コメディーで視聴率を稼ぎたいのだろう。橋本はアニメ脚本のほか、「ショムニ」シリーズ、「ウオーターボーイズ」シリーズでも知られるベテランだ。

 

オリジナル最後の1本は日テレ系「ブラックスキャンダル」(木曜、23時59分~、10月4日初回)。脚本は佐藤友治ほか複数人による共作で、読売テレビ制作。芸能界を舞台にした、山口紗弥加主演の復讐譚。ただし、同じ枠で1年前の冬季に放送された木村多江主演の「ブラックリベンジ」の焼き直し感が否めない。

 

(以下続く)(2018・10・6、元沢賀南子執筆)

 

◇2018年秋季の連続ドラマ一覧(元沢調べ)

●は原作もの、▲はシリーズもの・続編、◇はオリジナル脚本

※各局のhpなどを元に元沢が独自に集計した。

※万一、間違いがあった場合は申し訳ありません。