◎「はだか(裸)」

「はだきら(肌着等)」。「きら」が「か」の音(オン)になっている。「ら(等)」は、なんらかの情況や情況にあるものを意味する。情況にある、とは、環境存在になっていること。「はだきら(肌着等)→はだか」は、肌(はだ)を着た情況にある、ということ。肌(はだ)以外なにも着ていない。つまり、「はだきら(肌着等)→はだか」は、体表に肌以外なにもないこと。

「露形(ハダカ)なる者の爲(ためには)作諸衣服」(『地蔵十輪経』元慶七(883)年点)。

「相撲(すまひ)なども、清涼殿にて中宮は御覧ず。儀式ありさま、さる方に見どころあり。はだかなる姿どものなみたちたるぞ、うとましかりける」(『栄花物語』)。

「躶 ……波太加奈利」(『新撰字鏡』)。

「小判を裸にて山のごとくつみおかれし」(『浮世栄花一代男』)。

 

◎「はだかり(開かり)」(動詞)

「はだけ(開け)」(その項)の自動表現。「(漬物を)つけ(漬け)・他動表現」「(漬物が)つかり(漬かり):自動表現」のような変化。開(はだ)けた(開(ひら)き、広(ひろ)げた)状態になること。「立ちはだかり」は、何かが立って広がったような状態になる。それにより進行が阻止・妨害される。たんに「はだかり」だけでも、足をひろげ、存在を広げるように立っていることを表現する。

「御簾の内近く候ふ女房達、奇異に目口はだかりておぼゆること限りなし」(『今昔物語』:予想もしていなかったことにより、呆然と目も口もひろがった状態になった)。

「跨 …マタガル ハタカル」(『類聚名義抄』)。

「長右衛門、門口にはだかつてゐて」(「歌舞伎」『彩入御伽草(おつま八郎兵衛)』)。

「とんだ事がはだかつたなう」(「歌舞伎」『扇音々(おうぎびょうし)大岡政談(天一坊)』:事がはだかる)。

「欽哉は拡(ハダ)かつた胸を掻合はせて」(『青春』(小栗風葉):視的印象がはだかる)。