◎「はぐれ(1)」(動詞)

「はぐり(1)」(その項)の自動表現化。「はぐり(1)」(8月13日)を受けた状態になること。

「HAGURE(ハグレ),―ru(ル),―ta(タ), ハグレル,逸, i.v.  To be stripped off(剥ぎ取られる), made bare(剥き出しになる), denuded(剥ぎ取られた), uncovered(覆われていない), separated(離れた), to run to one side(片側へ寄る), fly the track(路を外れる?), to escape(外(そ)れる?).  Kimono(キモノ) ga(ガ) ―, to be stripped of ones clothes(服が剥がれる).  Tsure(ツレ) ni(ニ) hagurete(ハグレテ) hitori(ヒトリ) de(デ) kita(キタ), losing my companion by the way I have come alone(仲間を失い一人で来た).  Futon(フトン) ga(ガ)―, the quilt is off(掛け布団がかかっていない状態になった).  Syn. SORERU(ソレル)」(『和英語林集成』:この部分は「はぐれ(1)」と「はぐれ(2)」が混同され、混乱が起こっている。「Tsure(ツレ) ni(ニ)…」の部分は「はぐれ(2)」)。

 

◎「はぐれ(2)」(動詞)

「はぐり(2)」(8月13日)の客観的事象表現たる活用語尾E音化(下二段活用化)。「はぐり(2)」も「はぐれ(2)」もどちらも自動表現。成果が得られない状態になること。動詞につけられ、たとえば「見はぐれた」と言えば、見ることの成果が得られない状態になった。どこかをAと同行している場合「Aにはぐれ」は、Aとの同行の成果が得られない状態になっている。「はぐれ者(もの)」という語もありますが、社会的成果が期待できそうにもない者。ただし、前記「Aにはぐれ」のような用い方の影響により、「はぐれ者」は、社会の中で、社会的な関係において、道に迷ったような(行くべき道がなくなってしまったような)状態になっている者を言っている場合もあるかもしれない。

「手だてにはぐれて擬議した処で」(『蓬左文庫本 臨済録抄』)。

「南無三宝。これはどちもはぐれた」(『狂言記』「どちはぐれ(東西迷)」:出家が、食事の出る檀家と布施の出る檀家のどちらへ行こうかと迷ううちに遅刻しどちらを得ることにも失敗する)。

「己はぐづぐづすると電車に乗りはぐれる」(『里芋の芽と不動の目』(森鴎外))。

「『一所(いっしょ)に連(つれ)て往(い)つておくれな。万一(ひよつと)はぐれるといけないからヨウ』といひ……『……はぐれた所でここはお前(めへ)観音さまだ。迷児(まいご)にもなるめへ』」(「人情本」『郭の花笠』)。

「人混みの中で親にはぐれた子供が…」。