◎「はぐくもり」(動詞)

「はぐくみもり(育み守り)」。「はぐくみ(育み)」はその項(8月11日)。「もり(守り)」は、なにかを見続けそれを配慮下におくこと。「はぐくみもり(育み守り)→はぐくもり」は、何かを育(はぐく)みそれを常に配慮下におくこと。それになにごとかがあれば、すぐに対処する。「武庫(むこ)の浦の入江の洲鳥(すどり)はぐくもる(羽具久毛流)君を離れて恋に死ぬべし」(万3578:私(新羅へ派遣され旅立つ男たる)私がはぐくもる君(女)、という関係での歌でしょう)。

 

◎「はぐらかし」(動詞)

「はぐれ」に「おびやかし(脅かし)」その他の「~かし」がついたもの。「はぐれ」「かし」(2021年2月24日)はその項参照。努力効果・成果を喪失させる状態にすること。思考や判断をはぐれさせる。

「藤六『ヤイ、此奴等(こいつら)は。伊平太さまをはぐらかして、盗み喰ひしたな』」(「歌舞伎」『阿国御前化粧鏡』)。

「『………』と与次郎は急に広田先生をほめだした。三四郎は美禰子の性格についてもう少し議論の歩を進めたかったのだが、与次郎のこの一言でまったくはぐらかされてしまった」(『三四郎』(夏目漱石))。