◎「は(歯・刃)」

「はえあひ(生え会ひ)」の「はやひ」のような音(オン)を経つつ「は」の音だけが残った。生(は)え、そして会(あ)うもの・身体部位。生まれたときからそなわっているわけではなく、それは生(は)え・発生し、複数が会(あ)う・合うことにより役割を果たす。人の(人以外の動物にもあるが)口蓋内に生じる骨のような器官。(とりわけ食べ物を)噛む、噛みきる、といったことをおこなう。ものを切断する道具の、切るために線状に薄くなっている部分を言う「は(刃)」はその応用。その道具の最初の材料は石でしょう。後には金属になる。

「仲子(なかちこ)は、上(うへ)の歯(は)堕落(お)ちたりき」(『日本書紀』)。

「歯 ……和名波 口中折骨者也」(『和名類聚鈔』)。

「復(また)、劒(つるぎ)の刃(は)より垂(しただる)血(ち)、是(これ)、天安河邊(あまのやすのかはら)に所在(あ)る五百箇磐石(いほついはむら)と爲(な)る」(『日本書紀』)。

「櫛の歯」(櫛(くし)の髪を梳(す)く部分)。「下駄の歯」(下駄板の下部に装着した板材(あるいは、そうした形状の部分))。「歯車」(外周に歯状の刻みのついた車輪状の機械部品)。

 

◎「は(端)」

H音の感覚感とそのA音の情況感により情況的感覚感・表面感・平面感が表現される。対象が限定され、その対象と情況との相対的関係が生じれば「は(端)」はその対象の情況に対する表面域を表現する(「山のは(山の端)」)。それは部分域となり「は(端)」は部分域も表現する(「こっぱ(木っ端)」)。「は(葉)」の項の「※」参照。

「山の端(は:波)に月傾(かたぶ)けば漁(いざ)りする海人(あま)の灯火(ともしび)沖になづさふ」(万3623)。

「春はあげぼの ……………秋は夕暮。夕日のさして山のはいとちかうなりたるに…」(『枕草子』)。

「HA ハ …The odd number(半端になった残りの数), or that which is over and above a round number(あるいは、まとまった数に余る数), as: sanbyaku(サンビャク) ha(ハ), three hundred and odd(三百と残り), or(あるいは) the amount above three hundred(三百を超える部分); go-jū yen(ゴジューエン) no(ノ) ha(ハ) dono(ドノ) kurai(クライ), how much is there over fifty yen? (五十円を越えてあといくら?)  ha(ハ) dake(ダケ) makeru(マケル). I will deduct the odd number(半端はまける). Syn. AMARI(アマリ)」(『改正増補 和英語林集成』)。

「軒端(のきば)」。「端数(はスウ)」。