◎「どん」
「ドに」。「ド」は、原意は「度(ド)」であり(「ど」の項)、限界を越えていることを意味する。「に」は動態を形容する。「ドに(度に)→どん」は、程度・限界を超えたなにごとかであり、の意。「どん底」「どん尻」「どん詰まり」「どん引き」。「どんどん進む」などの「どんどん」はこれが二度繰り返されている。
太鼓を叩いたりなにかがぶつかったりする音(おと)をあらわす擬音の「どん」はもちろん別語。

◎「どんぐり(団栗)」
「ドンくり(呑栗)」。大口をあけて呑(の)みこまれたような状態になっている栗(くり)のようなもの、の意。「つるばみ(橡)」(その項・8月3日)と同じような表現。同じような形態の木の実がそう呼ばれる。この木の実は古くは多く染料に用いましたが、さらに古くは食用にもした。ただし、シイの実などはそのまま食べられますが、多くはタンニンが多く、処理に手間がかかり、非常用保存食のような状態だったのかもしれません。
「橡実 味苦微温无毒 和川留波美(つるはみ) ………又和止ン久利(とんくり)」(『康頼本草』)。