◎「たたなめて(枕詞)」
「たてらなめて(楯等並めて)」。「ら」のR音は退行化している。「なめ(並め)」は、複数を均質なあり方で現すこと。防具たる楯(たて)を並べて、ということですが、この表現が「い」にかかり、「い」は(矢を) 「射(い)」にかかり、全体に、守り戦うことを表現する。
「たたなめて 伊那佐(いなさ)の山に 樹(こ)の間(ま)よも い行きまもらひ 戦へば 吾はや飢(ゑ)ぬ…」(『古事記』歌謡15:「伊那佐(いなさ)の山」は現・奈良県宇陀市の山)。
◎「たたね(畳ね)」(動詞)
動詞「たたみ(畳み)」「かさね(重ね)」の影響により生まれた動詞。意味は「たたみ(畳み)」とほとんど変わりませんが、活用語尾N音により客観的に動態が認了され、表現が客観的になっている。
「君が行く道の長路(ながて)を繰(く)りたたね(久里多多禰)焼き滅ぼさむ天(あめ)の火もがも」(万3724)。