◎「たけ(竹)」

「たけへ(発生け重)」。「たけ(発生け)」は「身の丈(たけ)」「思いのたけ」(思いの限り)といった語にもなっているそれ(→「たき・たけ」の項・9月28日)。発生感があることが表現される。「へ(重)」は独立した経験進行を、感じさせるものそれ自体(→「へ(辺・方・重)」の項)。「ひとへ(一重)」「ふたへ(二重)」などの「へ(重)」。「たけへ(発生け重)→たけ」とは、発生による独立した経験進行のあるもの、の意。発生による独立した経験進行、とは、発生につれつぎつぎに形成される、この植物の茎に見られる節(ふし)です。これは植物の一種の名。この植物は茎や枝が、ある程度伸び、隔てられ(区切られ)、また伸び、隔てられ(区切られ)、と、いくつもの隔てられた(区切られた)重なりを経つつ伸びていく。

「纏向(まきむく)の日代(ひしろ)の宮(みや)は………竹(たけ:多気)の根(ね)の 根垂(ねだ)る宮(みや) 木(こ)の根(ね)の 根蔓(ねば)ふ宮(みや)…」(『古事記』歌謡100)。

「竹 ………和名多計 草也一云非草非木」(『和名類聚鈔』)。

 

◎「たけ(岳)」

「たかへ(高辺)」。「へ(辺)」は「へだて(隔て:辺立て)」にあるそれ。それは域の限界を示し、その立った「へ(辺)」の両側域はそれぞれ別の域となる。「たかへ(高辺)→たけ」は、向こう側とこちら側の高い隔(へだ)てになる地形部分。山岳。特にその山頂。

「竺紫(つくし)の日向(ひむか)の高千穂(たかちほ)のくじふる(久士布流)嶺(たけ:多気)に天降(あまくだ)りまさしめき」(『古事記』:「くじふる」はその項・2021年10月3日)。

「やつがたけ(八ヶ岳)」(山名)。