「そば(傍・側)」の動詞化。「そふは(沿う端)」によるものと「そふま(添う間)」によるものがある(→「そば(傍・側)」の項・8月8日)。
前者「そふは(沿う端)」による場合は、事象が情況末端的に少し現れること。微かに風が吹いたり、晴れ模様だが少し雨が降ったりする。
「初花のひらけはじむる梢よりそばへて風の渡るなりけり」(『山家集』)。
「そばへる ……………船頭詞に曰、日和(ヒヨリ)にて小々雨のハラツクをそばへると云」(『俚言集覧』)。
後者「そふま(添う間)」による場合は、近接影響域で相互に影響し合うこと。戯れたりじゃれたりする状態になる。
「いやこしやく(小癪)な小僧共、あしくそばへると此(この)すゐ(ズイ?:擩・手でものをとること)を握りひしぐ」(「浄瑠璃」『佐藤忠信廿日正月』)。
「(袖に飾った桜などを)そばへたる小舎人童(こどねりわらは)などにひきはられて…」(『枕草子』)。
語尾Y音による「そばえ」もある。「おひ(追ひ)」がついた「おそばへ」「おそばえ」という表現もある。似たような表現で、進行感(連続感)を表現する「い」のついた「いそばひ」という表現もある。