「ソクカウテイ(即効体)」。「即(卽):ソク」は、なんの介入や媒介もなしにそれがそのまま、ということ。「効(效):カウ」は効(き)き目たる現れであるなにごとかや、効(き)き目たるなにごとかを現すなにか。「テイ」は「体」の漢音。ありさま、や、様子、の意で用いられている。すなわち、「ソクカウテイ(即効体)→そこつ」は、ただちに、それがそのまま効果の現れたるあり方であること。意味発展的に、よく考えられていない、軽率なあり方であることも言う。

 

「當宮去年仮雖有建立之号、楚忽之間、先所被用松柱萱軒也」(『吾妻鑑』:當宮は、去年、仮(かりに)建立之号有りと雖(いえども)、楚忽之間(楚忽(そこつ)なので)、先(とりあえず)、松柱萱軒用(もちいらる)也)。

「相構へて、兼日(けんじつ:歌会の前日以前に題が出されている場合)も当座(とうざ:その場の即席の作歌)も、歌をばよくよく詠吟(えいぎん)して、こしらへ出すべきなり。疎忽(そこつ)の事は必ず後難(こうなん:後に謗りをうけたりすること)侍るべし。常に心有る体の歌を御心にかけて、あそばし候べく候」(『毎月抄』(歌論書):その場で即応的に歌をつくるようなことはしてはならない)。

「『粗忽長屋(そこつながや)』」(「落語」(その演目名)。

「卒忽ながら、いまだ御死骸を葬られずば、様子を見たう存ずる」(「浮世草子」『風流曲三味線』:軽率なお願いですが、のような、申し入れを遠慮していることを表現した謙遜)。