◎「そけ(退け)」(動詞)
「そき(退き)」の他動表現(→「そき(退き)」の項・7月8日)。期待進行とは逆方向へ進行させること。なにかを離れさせたりする。
「安可見(あかみ)山 草根(くさね)刈り除(そ)け逢(あ)はすがへ争ふ妹しあやに愛(かな)しも」(万3479:「安可見(あかみ)山」にかんしては、実在する山なのか、それは現在のどこなのか、にかんしては明瞭ではない。「逢(あ)はすがへ」にかんしてはいろいろと言われますが、逢うと約束したのに、の意(→「がへ」の項・2021年6月1日)。全体の歌意は、逢うって言うから、草まで刈って準備したのに、いまさらいやだなんてひどいよ、ということ。「かなし(愛し)」は、悲嘆を感じているわけではなく、たまらなくいとおしい)。
◎「そげ(殺げ)」(動詞)
「そぎ(殺ぎ)」の自動表現(→「そぎ(殺ぎ)」の項・7月9日)。社会的に期待逆行していたりする。
◎「ぞけ」(動詞)
「ふんぞりかへり」→「ふんぞけぇり」→「ふんぞけ」→「ぞけ」ということ。身を起こすこと。江戸時代の俗語。
「異見(意見)するほどぞける意地」(「雑俳」:この場合は、さらに反発してふんぞり返ったわけです)。
◎「そげたち」(動詞)
「しょげたち(悄げ立ち)」。「たち(立ち)」はなにごとかが発生すること。「しょげ(悄げ)」はその項。「しょげ」た状態になること。
「此施行銀にうるほひて、びんぼうのそけ立し顔もつやつやとなり」(「浮世草子」『三千世界色修行』)。