「そり(反り・外り)」「それ(反れ・外れ)」の「そ」による動詞(「そり(反り・外り)」「それ(反れ・外れ)」はそれらの項)。「そり(反り・外り)」「それ(反れ・外れ)」の「そ」ということは「そり(剃り)」(→その項)の影響もあるということです。この「そ」は、基本的に、期待動態とは逆行する動態を表現しますが、「そり(反り・外り)」「それ(反れ・外れ)」は客観的な情況表現であり、「そぎ(殺ぎ)」は自己の動態が表現される。そしてそこには、よける(避ける)、はづしはなす(外し離す)、といった意味もあり、「そぎ(殺ぎ)」は、きりはなす(切り離す)、といった意味になり、その自動表現「そげ(殺げ)」は、何かが切り離れた、という意味になり、また、それは社会的に期待逆行していることも意味し、「そげもの(殺げ者)」は、人の、性格が変わっていたり、ひねくれて偏屈であったりする。「そぎ(殺ぎ)」に関しては、そこで切り離し外すのは、線状のものであればその末端であり、立体状のものであればその表面です(つまり、表面を薄く削る。全体を切断する動態にはならない。意味発展的に、部分を除くことも言う)。

「頭(かしら)はあま(尼)そぎなるちごの、目に髪のおほへるをかきはやらで」(『枕草子』:あるいはこの「そぎ(殺ぎ)」という動詞は、女が出家し、髪をすべて剃るのではなく、いわゆる「あまそぎ(尼殺ぎ)」と言われる、短めに切りそろえた髪にすることを表現し生まれたのかもしれない。髪が成長する期待動態とは逆行する動態を表現する)。

自動表現は「そげ(殺げ)」。

「髪をそく、如何。答、鎩とつくれり。すそきるの反」(『名語記』)。

「俗は我が御身に使ひつけさせ給へる四位五位など四、五人ばかり具して、よろづをそがせ給ひておはしましぬ」(『栄花物語』)。

「力をそぐ」「興をそぐ」。

・「そげ(殺げ)」

「道林禅師はそげた人ぢゃに依って、殿堂伽藍にも住せず。松などの屈曲としたに鳥の巣のある下に居られた」(『本則抄』)。

「SOGE(ソゲ)-ru(ル)-ta(タ)、ソゲル、殺、i.v.………Hana(ハナ) ga(ガ) sogeta(ソゲタ), His nose is cut off(彼の鼻は切り落とされている)」(『和英語林集成』:本書のこの項に「To cut or get rid of an unwelcome companion(歓迎されない仲間を切り離すか取り除くこと)」という説明があるのだが、これは「そげ者」といった語を誤解したものでしょう)。

 

◎「そきだく」

→「こきだく(許多く)」の項(2022年2月5日)参照。