「ソウジオンゆゆし(怱事音由由し)」。「ゆゆし」のY音は退行化した。「怱」は「悤」の俗字。音(オン)はソウ。意味は、急いでおり、せわしないこと。忙しい状態であることを表現する「ソウソウ(怱怱・忩忩):「忩」は「怱」と同字であり、俗字でしょう」という語がある。「忩忩 ソウソウ」(『色葉字類抄』)。「忩忙 ソウハウ」(『色葉字類抄』)などという語もある。「ソウジオンゆゆし(怱事音由由し)→そうぞうし」は、その「怱(ソウ)」の状態による音響刺激的効果がいちじるしいこと。この語は「さうぞうし」「さうざうし」と書かれることがある。これは「騒(サウ)」の音の影響によるものでしょう。「騒」は「」漢音「サウ」、呉音「ソウ」。意味は、騒(さわ)ぎ、混乱、あわただしさ、を表現する。「そうぞうし」の語源はこの語による「サウザウし(騒騒し)」だという説もあるのですが、音(オン)に問題があり、意味としては音響表現力が弱い。「騒々し」は当て字。
語形が似た印象の「さうざうし」(2022年5月18日)という語もあるのですが、それは別語。
「何トヤラン世見(セケン)之ソウゾウ敷ニに付而」(『三河物語』)。
「『サァ舟をけへしてくれ』トたがひにそうぞうしくわめき」(「洒落本」『仕懸文庫』)。