◎「すばり(窄り)」(動詞)
「すべ(窄べ)」の自動表現。自縮したような、縮まったような、状態になること。
「『げにもげにも、下戸は酒にあうてから、口がすばるほどに』とて、大(おほい)に同心したり」(『醒酔笑』)。
「Subari(スバリ), ru(ル), atta(ッタ), Estreitarse(狭(せば)まる)……………¶ Cuchiga Subaru(クチガ スバル)……¶ Fitono xindaiga xidaini subatte yuqu(ヒトノ シンダイガ(身代が) シダイニ(次第に) スバッテユク)」(『日葡辞書』)。
この語の連用形名詞化は、縮まっていること・もの、ということなのですが、隠語的に、肛門、さらには若衆(美少年、さらにはそれ系の男色系文化にある男)を意味することが多い。
「ある人、子を寺へあげ、久しくあはぬとて迎ひ行、連れて歸る。寺内にて、ゆき相程の人、『すばり、里へか。さらばさらば』といふ。親これを聞て、『すばりとは、名をかへたるか』と不審する。『寺のならひにて、下戸を、すばりと申す』と述べた。扨(さて)、五三日過ぎて、又同道してまいる。法印、出相給て、『松千代ははやう、兵衛殿奇特に』とて、御酒をしいさせらるゝ。『一圓に我らも、倅(せがれ)と同じ事にて、すばりで、下されぬ』といへば……」(『きのふはけふの物語』)。
◎「すばり(統り)」(動詞)
「すべやり(統べ遣り)」。「すべ(統べ)」の動態にすること。全体をまとめる、のような意。
「揔 スベテ スバル…統合・皆」(『類聚名義抄』)。
◎「すばる(昴)」
「すばりゆ(窄り揺」。凝集し(光が)揺れるもの、の意。星団の名。
「昴星 ……和名須八流」(『和名類聚鈔』)。
「星は、すばる、ひこぼし、ゆふづつ。よばひ星すこしをかし。尾だになからましかば、まいて(尾さえもなかったらまして)」(『枕草子』)。