◎「しはがれ(嗄れ)」(動)

「すひはきかれ(吸ひ吐き枯れ)」。「すひ」は「し」になり「きか」は「が」になっている。「すひはき(吸ひ吐き)」は呼吸のこと。「すひはきかれ(吸ひ吐き枯れ)→しはがれ」は、呼吸が枯れた印象になる。乾いた、固いものが擦(こす)れた擦過音や割れ砕けれるような印象になる。この語は慣用的に「しゃがれ」になる(同じような音変化としては「しはぶり→しゃぶり」がある)。

「カラフヘノ疵(きず)故ニ。聲ハシハガレタリケリ」(『沙石集』:「カラフヘ」は「からふえ(空笛)」であり喉(のど)のこと)。

 

◎「しばき」(動)

「しばあばき(柴除き)」。「しばばき」のような音を経つつ「ば」は一音化した。「しば(柴)」は小枝。「あばき(除き)」は、「秘密をあばき(暴き)」などのそれではなく、何かを解体的な状態にしてしまうこと(→「あばき(除き)」の項。「撥 …ハラフ………ヒラク アハク」(『類聚名義抄』)。「墓をあばく」)。小枝にさらなる細枝がついているような「しば(柴)」を解体的な状態にする、とは、この小枝で何かを打ち、とりわけ、打ち続け、この柴(しば)を解体的な状態にしてしまうこと、柴を粉砕するような状態にしてしまうことです。これが小枝のようなもの、さらには紐状のもの、さらに後には単に手で、何かを打つこと、とりわけ、打ち続けること、を意味する。

「おびにて打しはき、たちぬき、むね打ちにてさんざんにきりつくる」(「歌舞伎台本」)。

 

◎「しはす(師走)」

月暦十二月の称。五十音順でいうとこのあたりに「しはす(師走)」の項があるのですが、「むつき(睦月):一月」から「しはす(師走):十二月」まで、古代の月名に関しては「むつき(睦月)」の項でまとめてふれられます。古代の月名の語源に関しては、全体をまとめて説明しないとよくわからないのです。