※ U音の遊離感に関しては「いく(幾)」の項。
※ シク活用形容詞の語幹の二重性に関しては「ほし(欲し)」の項。シク活用形容詞の語幹の二重性、とは、たとえば語幹「かる(軽)」の場合、ク活用形容詞は「かるし(軽し)」ですが、シク活用形容詞では「かるがるし(軽々し)」と二音重なること。
・語幹一音の形容詞
(シク活用)
「あし(悪し)」、「いし」、「くし(奇し)」、「けし(異し)」、「はし(愛し)」、「ほし(欲し)」、「をし(惜し・愛し)」。
(ク活用)
「うし(憂し)」、「えし(良し)」、「こし(濃し)」、「さし(狭し)」、「すし(酸し)」、「せし(狭し)」、「とし(利し・疾し)」、「なし(無し)」、「よし(良し)」。
「し」の語源、が続きましたが、その項目だけ再記すれば、「し(其)」、「し(風)」、「し(死)」、「し(為)」、「し(助動詞・過去回想)」、「し(助動詞・尊敬)」、「し(助詞・副助詞)」、「し(助詞・接続助詞)」、「し(形容詞語尾)」。そのほか、「いし(石)」の「い」が退化している「し」(「おひし」(『古事記』歌謡14)→「おほいし(大石)」、「さざれし」(万3400)→「さざれいし」)もあり、動物などを追い払う掛け声のような「し」もある。掛け声のようなこれは「いし(石)」(言語表現として石をぶつけているということ)。『待っていておくれやし』などの語尾につく「し」もある。これは「し(為)」であり、動態を呼びかけすすめる。