◎「さか(計量果・尺・斛)」
「しはか(為努果)」。「はか(努果)」は努力の成果。為(し)た努力の成果、とは、ある対象に関し行った重さや長さや広さや大きさを把握する努力、計量努力の成果であり、計量化されたその規模です。「やさか(八さか)の嘆(なげ)き(万3276)」「ももさか(百さか)の船(万2407)」(これらの「や(八)」や「もも(百)」は象徴的に、容量が大きい、と言っているのであって、正確に計量しているわけではありません。「八さかのなげき」は非常に長く深い嘆きであり、「百さかの船」は大量の荷を積める大きな船)。
この「さか」は容積の単位にもなり、「コク」とも言い、「石」とも書く(中国でもそう書きますが「コク」とは読まない。中国では「石」の音(オン:漢音、セキ、呉音、シャク)で読み(※下記)、これを「こく」と読むのは日本の慣用→「センゴクぶね(千石船)」)。
「百姓(おほみたから)殷(さかり)に富(と)めり。稲(いね)斛(ひとさか)に銀銭(しろかねのぜに)一文(ひとつ)をかふ(交ふ)」(『日本書紀』)。「コク」は「斛」の音(オン)であり、「斛(コク)」は「斗(ト)」の十倍。「斗(ト)」は「升(ショウ)」の十倍。「升(ショウ)」は「合(ガフ)」の十倍。「合(ガフ)」は「勺(シャク)」の十倍。時代や地域によって変化はあるでしようけれど、現代の日本では「升(ショウ)」は約1.8リットル。古代でも「斛(コク)」は、つまり容量たる「さか」は、180リットルくらいでしょう。一升瓶百本分。銭(ぜに)の「一文(一匁)」は一貫の1000分の1であり、1貫は現代では3.75キログラム。ということは「銀銭(しろかねのぜに)一文」は現代で言えば銀3.75グラムか。ただし銀の希少価値性は現代よりも古代の方が圧倒的に高く、現代の「銀市場」なるもので換算しても意味はない。「稲(いね)斛(ひとさか)」は扱き落とした実のことか稲穂のままのものかという問題もありそうですが、稲穂のままのほうが可能性は高そうです。
※ 中国でも容積の単位が「石」と書かれることもありますが、これは「タン」と言われる(これは「担(タン)」か?。一担(かつ)ぎ、ということ)。
◎「さか(栄)」
「さひはか(射日努果)」。「さわか」のような音(オン)が退行化し「さか」になっている。「さ」は情況動態を表現する。「ひがさし(日が射し)」の「さ」。「はか(努果)」は努力の成果。つまり「さひはか(射日努果)」は日の効果です。日がもたらす全効果・全成果。
「とよさか(豊栄)」、「いやさか(弥栄)」、「さかえ(栄枝)」など。